陸上のダイヤモンドリーグ第6戦のセインバリー・バーミンガム・グランプリが5日、英国バーミンガムのアレクサンダースタジアムで行われる。

 注目は女子100メートル障害に出場するケニー・ハリソン(23=米国)で、先月12秒24の世界歴代2位をマークしたばかり。男子400メートルのキラニ・ジェームズ(23=グレナダ)や、走り幅跳びの地元英国のグレッグ・ラザフォード(29)ら、4年前のロンドン五輪で金メダルを取った選手たちも多く出場する。

 女子100メートル障害でハリソン、ブリアナ・ロリンズ(24=米国)、サリー・ピアソン(29=豪州)と、12秒2台の記録を持つ3選手が激突する。12秒2台を出しているのは、過去6人だけ(表参照)。世界記録のヨランダ・ドンコワ(ブルガリア)らは1980~90年代に活躍した選手で、今世紀に入ってから3人そろうのは初めてのことだ。

 だが、ハリソンの勢いが先輩2人を圧倒しそうだ。ハリソンは世界歴代2位をマークした5月28日のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会では、ロリンズに0・29秒もの差をつけた。ピアソンは昨年6月のダイヤモンドリーグ・ローマ大会で負傷し、今大会が約1年ぶりの復帰戦である。

 ピアソンは11年世界陸上と12年ロンドン五輪の、ロリンズは13年世界陸上の金メダリスト。大舞台で戦ってきた経験を生かし、少しでもハリソンを慌てさせたい。

【女子100メートル障害の世界歴代リスト】

(1)12秒21 Y・ドンコワ(ブルガリア)   1988年

(2)12秒24 K・ハリソン(米国)      2016年

(3)12秒25 G・ザゴルチェワ(ブルガリア) 1987年

(4)12秒26 L・エンクイスト(ロシア)   1992年

(4)12秒26 B・ロリンズ(米国)      2013年

(6)12秒28 S・ピアソン(豪州)      2011年

 ピアソンも含め、ロンドン五輪金メダリストが8人エントリーした。なかでも注目は5000メートル&1万メートルの長距離2冠を達成したモハメッド・ファラー(33=英国)だ。地元のスーパースターとして出場する今大会は3000メートルでケニア勢と対決する。

 ファラーの特徴はラストスパート。残り500~600メートルから二段階、三段階に分けてスパートすることもあれば、残り300メートルを切ってから一気に行くこともある。最大の武器をダイヤモンドリーグで研き、五輪連続2冠に挑む。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各種目は年間7大会で実施され、各大会のポイント(1位10点~6位1点)合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。