ドーピング問題でリオデジャネイロ五輪から締め出されたロシア陸上選手らが28日、モスクワで独自の競技会を開く。リオに向けて練習してきた選手の体調維持などが目的とされる。

 世界トップ級の実績のある選手らも参加するが、陸上女子棒高跳びの世界記録保持者イシンバエワ選手は無意味だとして出場を拒んだ。

 国際陸連のロシアを五輪から排除する決定で、世界の一流選手と競う機会を失った選手は落胆。同国陸上界は窮地に追い込まれ、影響は尾を引きそうだ。

 ロシア陸連が昨年11月、国際陸連から資格停止処分を受けて以来、ロシア陸上選手は国際大会に出られなくなったが、リオ五輪までに処分が解ける可能性があるとみて練習を続けた選手は多い。

 ロシアメディアによると、イシンバエワ選手のコーチは「袋小路だ。私たちは全面包囲され、北朝鮮のように(孤立状態に)なっている」と述べ、「ロシア陸上界の発展は8~10年滞る」と懸念を示した。

 選手らはスポンサー企業を見つけるのも困難になる。原油安による財政難が追い打ちを掛け、来年度以降、スポーツ予算は大幅削減の見込みだ。

 ロシア陸連と68選手は五輪出場を求めてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴えたが、21日に却下された。