優勝候補の一角だった豊田自動織機が異例の格好で失格になった。

 “事件”は最初の中継点で起こった。1区の福田有以(21)がトップから8秒差、区間3位の走りでやってきた。しかし、その中継線に2区の島田美穂(19)がいなかった。福田は減速しながら島田を探した。その直後、島田が慌てて、コースに出てきた。2人は並走するようにタスキを渡した。

 日本陸連の駅伝競走規準には「たすきの受け渡しは、中継線から進行方向20メートルの間に手渡しで行われなければならず、中継線の手前からたすきを投げたりしてはならない」とある。実は、たすきの受け渡された地点は、中継線から進行方向に20メートル50センチ。わずか50センチながら、越えてしまい、失格となった。

 記録上は失格だが、島田は2区(3・9キロ)を12分6秒で快走。タイムでは“区間2位”だった。2人を抜いて、最も早く3区にたすきを渡した。それだけに痛恨だった。

 長谷川監督は「審判の方は島田に知らせたと話していましたが、島田は気が付いていなかった。福田が一気に後半追い上げたのもあったのかもしれない」と唇をかんだ。その上で「駅伝は1人で戦うスポーツではない。この結果も全員で受け止めなければならない。(50センチでも)だめだと受け止めなければいけない。誰に言われても問題ない、たすき受け渡しをしないといけない」と話した。たすきを投げるなど、中継線での前で受け取り、失格となるケースはあるが、“オーバーラン”は極めて異例。長谷川監督も「指導生活の中で初めてです」と苦笑いだった。

【上田悠太】