日本郵政グループが創部3年目で初優勝を果たした。

 2時間15分8秒でフィニッシュした。目標は昨年の12位以上と控えめだったが、一気に成り上がった。

 一体感が生んだ金星だった。高橋昌彦監督(51)は「走る選手だけでなく、みんなでやっていた」とうなずいた。リオ五輪5000メートルに出場した鈴木亜由子(25)も「走る人も走らない人もまとまっていた。1人1人がチームの一員とのいう意識が持てていた」と話した。

 象徴的な出来事があった。レース前日の夕食前のミーティングで、気合を入れるべく円陣を組んだ。その後だった。控えの池田、柴田、藤田、岩橋、宇都宮がメンバー1人1人にチョコレートと「普段通り」などと個別のメッセージの書かれた手紙をプレゼントした。控えとメンバーの分け隔てはなかった。リオ五輪代表で、左足の疲労骨折の影響で状態が万全でなかった鈴木も「うれしかった。本気で走らないと」と闘志に火が付いた。レース後は、勝利の美酒ならぬ、みんなで「勝利のチョコレート」に酔いしれた。

 今大会予選では8位。ある選手から「応援する気持ちになれなかった」という発言が出てしまうほど、チームはバラバラだった。選手だけでのミーティングで本音をぶつけ合ったことで、危機感が生まれた。一体感を出すため、強化合宿では、合宿に参加しない居残り組も、メニューや連絡事項が伝わるように、チーム全体の全体のLINE(ライン)で共有した。また鈴木は「細かなことでも『ありがとう』と言っていこう」と呼び掛けた。良好な人間関係の根本は感謝と考えた。わずかな気遣いだったが、その積み重ねは、チームに大きな力をもたらしていた。【上田悠太】