女子は大阪薫英女学院が2年ぶり2度目の優勝を飾った。ケニア人の父を持つ2区高松智美ムセンビ(2年)が9人抜きの快走でトップに立つと、その後は1度も首位を譲らず、2位に44秒差をつける1時間7分24秒でゴール。高松の姉望ムセンビ(19)は2年前の初優勝メンバーで、姉妹で20年東京五輪出場を狙う。

 大阪薫英女学院は2区高松の9人抜きで一気にトップに立った。先頭から37秒差の10位でタスキを受け取ると、高松のスイッチが入った。148センチ、36キロの小さな体が弾むように都大路を駆け抜けた。「前に人がいるのは嫌。絶対負けない」。先頭の中継車を目掛け、中盤までに8人を抜いて2位に浮上。残り1キロを切って先頭の長野東に並ぶと、ギアを上げてトップに立った。3区以降は1度も首位を譲らない独走優勝だ。

 高松の姉望ムセンビは2年前の優勝メンバーで、現在はナイキの支援を受けて米国で修業中だ。高松も既に中学時代から日本陸連に素質を見抜かれ、東京五輪の強化選手「ダイヤモンドアスリート」に認定されている。姉妹には日本代表として4年後の五輪に長距離種目で出場する大きな夢がある。

 大会2連覇を目指した昨年は2区の高松から姉へとタスキをつないだが、3位に終わった。今回は米国の姉から「落ち着いて智美らしい走りをして」と励まされていた。唯一の3年生で2年前の優勝を知る1区嵯峨山主将は「安心してタスキを渡せた」。安田功監督(55)も「2年前よりも選手はそろっていたが、高松の活躍は予想以上」と目を細めた。

 「連覇したい。また今日から頑張ります」という高松は、姉妹での東京五輪出場にも「(五輪は)まだ遠くに感じるけど、頑張りたい」と意欲的だ。都大路2連覇の先には、姉妹での夢舞台が見えてくるかもしれない。【中島万季】

 ◆高松智美(たかまつ・ともみ)ムセンビ 2000年(平12)2月23日、ケニア生まれ。大阪・北豊島小3年時、万博アスリートクラブで陸上を始める。大阪薫英女学院中出身。高校総体3000メートルでは日本人最高の3位。148センチ、36キロ。