常識を超えた-。箱根駅伝(2、3日)で史上初の大会3連覇と年度3冠を同時達成した青学大が7日、日本有数の繁華街の渋谷センター街で優勝パレードを行った。ファンら1万人以上が集結し、大フィーバーを巻き起こした。キャンパスが渋谷にあるとはいえ、センター街でのパレード実施は従来にない発想。原晋監督(49)は3年後の東京五輪へ、最近減少していた学生からマラソンに挑戦する流れを作ると宣言。今後も陸上界の常識破りに挑む。

 渋谷センター街が歓声と悲鳴に包まれる。アイドルやタレントが来たわけではない。青学大の原監督と箱根駅伝メンバーが1万人を超えた人並みの中を練り歩いた。原監督が「日本の文化の発信地。若い層に、駅伝=根性、辛抱のイメージを払拭(ふっしょく)し、新しい駅伝スタイルを確立したい」ともくろんだ狙い通りの結果になった。

 昨年の連覇後から青学大の三木学長の希望もあり、大学、警察、渋谷センター商店街振興組合などが話し合いを重ねてきた。この日は警察、大学関係者ら約200人が警備する中、センター街往復約500メートルでパレード。見守った渋谷区の長谷部区長も「渋谷の誇り。良い伝統になれば」と話した。

 陸上界、アマスポーツの常識なら危険、混乱などの理由でパレードは実現しなかった可能性が高い。だが原監督は違う。従来の上意下達の体育会と違う、一体感ある組織でV3&3冠を達成。次なる常識破りは、大学生の積極的なマラソン挑戦の道筋作りになる。

 近年は大学卒業後は、まずトラックでスピードを磨き、30歳を迎えるころにマラソン挑戦が主流。原監督は真っ向から異議を唱える。「若い方が回復力がある。スピードをつけるためトラックというのは、ある種逃げの面もある。それが失われた(記録が伸びない)20年につながった」と話す。

 昨年の東京マラソンでは下田(3年)が日本人2位、同3位にエース一色(4年)が入った。今年も2月の東京マラソンに下田と中村(4年)、3月のびわ湖毎日に一色が出場する。13日からは千葉・富津でマラソン強化合宿に入る。「実業団がだらしないから若い学生からいち早くマラソンに取り組む流れにかじを切っていきたい」と原監督。常識をぶっ壊した先にこそ、進化と発展がある。【田口潤】

 ◆過去2年の青学大の優勝パレード 初優勝の15年、連覇の16年は練習拠点のある神奈川・相模原キャンパス最寄りのJR淵野辺駅周辺でパレードを実施した。今年は初めて大学本部のある渋谷で敢行。例年通り淵野辺でも29日にパレードを予定している。