陸上男子400メートルリレーで日本が五輪3大会連続メダル? 国際オリンピック委員会(IOC)が08年北京五輪のジャマイカの金メダルを剥奪すると発表したことについて、国際陸連は26日までに、第1走者だったネスタ・カーターの同五輪でのドーピング違反が確定した場合、「他の競技会で採取、保管してある検体も再検査する」との声明を出した。金メダルだったロンドン五輪も対象とみられ、4位日本が銅メダルに繰り上がる可能性も出てきた。

 北京五輪でアンカーを務めた朝原宣治氏(44=大阪ガス主任コーチ)は戸惑いを隠せなかった。「正々堂々と戦った評価での銀メダルはうれしいけど、だからといって、あの時の感動が銀メダルに変わるわけではない。9年もたってね…」。また「ドーピングを意図的にやっているなら、永久追放でいい」との持論も展開。順位が変更となる可能性には「歴史が変わってしまう。日本が3大会連続メダルはすごいけど、事実(着順)が違う。やっぱり気持ち悪いではないですか」と複雑な心境を口にした。

 同五輪で陸上日本代表監督を務めた高野進氏(55=東海大監督)も「あの時の大切な記憶が崩れ、汚れるので、気持ちのいいニュースではない。残念な気持ちと同時に、ドーピング違反の根絶が難しい問題だとつくづく感じた」とショックを受けた。

 ロンドン五輪400メートルリレー決勝の第1走者で、カーターと直接対決した山県亮太(24=セイコーホールディングス)は「ドーピングは許せない。正当に評価されるべき人たちが思うような結果が出ない時もある。なのに、そういうことがあるのは悲しい。クリーンに勝負して欲しいのが僕らの願い」と訴えた。

 ◆北京五輪男子400メートルリレー 日本(塚原、末続、高平、朝原)は、予選1組を38秒52の2位で通過。決勝はジャマイカ、トリニダード・トバゴに続いて38秒15の3位でフィニッシュ。トラック種目でのメダルは1928年アムステルダム大会女子800メートル銀の人見絹枝以来80年ぶりだった。アンカー朝原が北京の夜空にバトンを投げた姿は、同五輪の名場面。

 ◆違反発覚による主な日本選手の順位繰り上がり 陸上男子で04年アテネ五輪ハンマー投げの室伏広治は銀から金メダル、12年ロンドン五輪400メートルリレーでは2位の米国選手の違反で5位から4位、50キロ競歩ではロシア3選手の違反失格で、森岡紘一朗が10位から7位へ繰り上がった。世界選手権では、11年大邱大会の男子20キロ競歩で鈴木雄介がロシア選手の違反により8位から6位となった。