陸上男子のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が27日、2008年北京五輪陸上男子400メートルリレーで獲得した金メダルを返還したと明らかにした。第1走者だったネスタ・カーターがドーピングの再検査で失格となり、国際オリンピック委員会(IOC)がメダル剥奪を発表したためで、ロイター通信は「つらいが、IOCの求めに応じて自分のメダルの一つを戻さなくてはいけない」との談話を伝えた。

 カーターの弁護士は処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する意向を示しており、処分が確定する前に選手側からメダルを返還するのは異例。

 ボルトは08年北京五輪から16年リオデジャネイロ五輪まで3大会連続で100メートル、200メートルと400メートルリレーの短距離3冠を達成した。カーターへの処分が確定すれば、陸上ではカール・ルイス(米国)らに並んで最多だった9個の金メダルが1つ減るが「うれしくはないけど人生でこうしたことは起こる。競技人生を通じて多くを達成してきたことに変わりはない」と語った。

 30歳のボルトは8月の世界選手権(ロンドン)を最後に引退する。