重友は「選考は選ぶ人が決めるので分からないですが、行けたらいい」と控えめだったが、世界選手権の代表に大きく近づいた。ロンドンは12年の五輪で、2時間40分6秒の79位に沈んだ地。雪辱を果たすべく「最後の10キロをしっかり動かせる走りができたらいい。選ばれただけで結果を残せなかった。もう1回行って走りたい」と力を込めた。苦い思い出を塗り替えるための準備を進めていく。【上田悠太】

 ◆重友梨佐(しげとも・りさ)1987年(昭62)8月29日、岡山・備前市生まれ。興譲館3年の05年高校駅伝で主将として初優勝。06年に岡山市に本社を置く百貨店の天満屋に入社、現在は最年長選手。12年1月の大阪国際初優勝で同年ロンドン五輪出場も右足首痛の影響で79位と惨敗。自己ベストは2時間23分23秒。168センチ、52キロ。

 ◆15年世界選手権北京大会代表選考VTR 名古屋ウィメンズ2位前田彩里(2時間22分48秒)と3位伊藤舞(2時間24分42秒)が選出。残る1枠を横浜国際優勝の田中智美(2時間26分57秒)と大阪国際3位の重友梨佐(2時間26分39秒)が争い、唯一の優勝者である田中が落選。同年3月の代表発表会見で84年ロサンゼルス五輪代表の増田明美さんが「びっくりしました。なぜ同じ26分台で大阪で3位だった重友さんなんでしょう?」と疑問視して物議を醸した。世界大会の3大選考レース優勝で代表落ちしたのは23年ぶりだった。

 ◆世界選手権女子マラソン代表選考 代表枠は最大3。昨年11月のさいたま国際、大阪国際、3月の名古屋ウィメンズで日本人1位で、派遣設定記録の2時間22分30秒以内を出せば、自動的に代表内定する。これで枠が埋まらない場合、3大会の日本人3位までと、昨年8月の北海道を制した吉田を対象に選考する。補欠も1人選ぶ。

 ◆陸上世界選手権 五輪に並ぶ陸上の世界最高峰の大会。83年ヘルシンキ大会が第1回。91年東京大会以降は4年から2年に1回(夏季五輪の前年と翌年)開催に変更。今年の第16回大会は8月5~13日にロンドンで、19年はドーハ、21年は米ユージーンで開催。日本では過去に東京と07年大阪で開かれた。