日本陸連は18日、都内で会見し、東京五輪男女マラソン代表選手の選考方針を発表した。19年9月以降に開催される「グランドチャンピオン(GC)レース」で男女各2枠を決定。同レースに出場するには、今夏から19年春までの国内主要大会で日本陸連の定めた順位、記録をクリアするか、国際大会で上位の成績を残す必要がある。残り1枠は「ファイナルチャレンジ」として、男女各3大会の中から、19年5月に発表の派遣設定記録を突破し、記録最上位の選手が選ばれる。

<記者の目>

 リオ五輪からわずか8カ月で東京五輪の新方針を決めた。規格外のスピード決定は、選考で物議を醸した過去から決別する強い決意を示す。尾県専務理事は「大なた」と表現した。

 混乱の原因とされた複数選考会は91年世界選手権東京大会から始まった。それ以前の同選手権マラソンは2軍クラスが出場。だが自国開催でトップ選手を出すため92年バルセロナ五輪の出場権をひも付けた。そして複数選考会が定着した。

 複数選考会は露出を増やす一方で選考を混乱させた。ある強化担当経験者は「最初から複数選考会ありき、だった。その中でどんな選考をするか、が我々のミッションだった」。複数選考会の存続は現場が手を出せない“聖域”だった。

 新方針で、これまでの選考会は「予選会」に格下げ。五輪前年の19年世界選手権ドーハ大会は五輪内定の特典が消滅した。これで有力選手は一切出場しない。

 一方でGCレースの2枠決定後、19年冬からの3大レースに1枠をあてて選考会の「看板」を残した。「大人の理由」(瀬古リーダー)で放送局などの顔を立てた形。実質は複数選考と一発選考の「折衷案」といえるが、08年北京以降の惨敗を東京で繰り返せない危機感が“聖域”を切り崩す追い風になった。91年東京から始まった複数選考は20年東京五輪を機に変わった。【五輪担当=益田一弘】