08年北京五輪の陸上男子400メートルリレーで銅メダルに輝いた高平慎士(33=富士通)が現役生活に別れを告げた。

 男子400メートルリレー決勝、競技生活ラストレースも日本勢のトラック種目で80年ぶりとなるメダルに導いた北京五輪の時と同じ3走。日本人離れした大きなストライドで駆け抜けた。

 チームは4着だったが、会場から温かい拍手が降り注ぐ。両手を挙げ、観客席へ頭を下げた。「競技を辞めてから、いろんなことが懐かしく思うことがあると思う。陸上をやっていて僕にとって財産になったのは人」。レース後は涙をこらえるように、タオルで口元を押さえた。

 引退セレモニーには朝原宣治と塚原直貴ら長く日本代表をともに引っ張った盟友が駆けつけた。会場の大型ビジョンに北京五輪で銅メダルを獲得した時の映像が流れると瞳が潤む。「こうやってセレモニーを開いてもらうとうれしい。幸せな競技人生だった」と感極まった。現役選手へ向けて「どの選手にも言えるのは、走ることは期間限定。やることに誇りをもってやってほしい」とメッセージを送った。