日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(61)が17日、駅伝偏重の日本陸上界を嘆いた。この日、都内で20年東京五輪代表を決めるグランドチャンピオン(GC)レースと、来年アジア大会の代表選考を兼ねたさいたま国際マラソン(11月12日)の招待選手が発表された。

 毎年有力選手の出場が少ないが、今年も日本人招待選手は第1回から3大会連続エントリーの吉田香織(36=TEAM R×L)と、3月の名古屋ウィメンズを途中棄権した岩出玲亜(22=ドーム)の2人のみ。同月26日に、全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)が控えるだけに、実業団に所属する有力選手は駅伝に集中している。

 東京五輪への道が開けても、変わらない現状。瀬古リーダーは「駅伝を重視しないといけない流れは寂しい。マラソン選手をつくってほしいことが、我々の願いなのだが…」と厳しい表情を浮かべた。続けて「何で出てくれないのか、聞いてみたい」と、あらためて関係者に事情聴取をする意向を示した。

 有力選手が少ないとはいえ、岩出の復活をかけた走りは見どころになる。前身大会でもある14年横浜国際女子で、初マラソンながら10代日本最高記録(2時間27分21秒)をマーク。だが、今年3月の名古屋ウィメンズは途中棄権。その後、所属先をノーリツからドームに変更。心機一転で復活を期している。現在は米アルバカーキで順調に合宿をこなしているという。瀬古リーダーは「(岩出にとって)ものすごく大事な大会になる」と好結果を期待した。なお、海外勢は昨年覇者のチェイエチ・ダニエル(35=ケニア)が連覇をかけて出場する。