陸上男子の桐生祥秀(21=東洋大)は13日、都内で会見し、来年4月1日から日本生命に所属することを発表した。背筋をピンと伸ばして「社会人としての責任も出てくる。陸上選手になりたい子供に夢を与える仕事がしたい」と所信表明。「自信を持って東京五輪の100メートルファイナリストになりたい」と言ってから「なろうと思います」と断定する形に言い直した。「世界で戦う桐生になりたい」と力を込めた。

 同社は強豪の野球部と女子卓球部はあるが、陸上部はない。歴史をつくった男らしく、既存の選択肢にない道を選んだ。社員ではなくスポンサー契約の形態で、実質的にプロ選手となる。同社から海外遠征など強化費の全面支援を受ける。東京五輪までは、引き続き練習拠点を東洋大に置き、土江コーチに指導を仰ぐ。引退後の雇用形態などは未定。関係者によると、日清食品グループ、トヨタ、住友電工、大阪ガス、富士通など多くの実業団からもオファーを受けていた。しかし「桐生をきっかけに陸上に興味がない人を引き込みたい」(土江コーチ)と陸上と縁のなかった企業を選択した。他にも土江コーチが窓口となり、陸上部がない企業に逆オファーへも出向いていた。

 桐生は同社のCMにも出演する、ゆずのファン。筒井社長ら幹部の前で、ゆずとコラボした「CMに出たい」と熱望すると、幹部から「検討したい」と前向きな返答も得た。所属先、そしてCM出演も決まって? 次のステージへ進む。【上田悠太】