25日に行われた東京マラソンで2時間6分11秒の日本新記録を樹立した設楽悠太(26=ホンダ)が26日、都内で日本実業団陸上競技連合からマラソン日本記録「突破」褒賞の表彰を受け、褒賞金1億円の目録を授与された。

 目録を手に設楽は「1億円を受け取るのがめちゃくちゃ楽しみ。表情にはあまり出さないですけれど、心の中では半端ないくらいうれしい」とにやりと笑った。4月17日に行われる実業団オブザイヤーで正式に表彰され、それ以降に銀行口座に振り込まれる流れになっている。「まずは応援に来てくれた友人においしいご飯をごちそうしたい。なにがいいかは友人次第ですね。両親には何が欲しいか聞いてみたい」と笑みを浮かべた。レース後には、この試合に向けて2週間我慢していたスナック菓子やカップ麺、コーラ飲料やビールを買い、夜に1人で食べ至福の時間を過ごした。

 25日のレースを振り返り、10キロ地点から右足ふくらはぎにズキズキとした痛みに襲われていたことも明らかにした。「検査しないとはっきりはわからないけれど肉ってる(肉離れしている)と思う。踏み込むとズキズキしたので残り30キロは我慢してこらえながら走った」。完走できるかどうか一瞬不安もよぎったが、「それを考えたら体が動かなくなると思って何も考えずに無で走った」と話した。痛みが出た原因は不明。「本当によくこの足が頑張ってくれた」と自分の足をねぎらった。ゴール直後に倒れ込んだのは、「足の痛みがひどすぎて立てなかった」と説明した。今も全身が筋肉痛で、歩くのもきつく、立つだけでもつらいと話す。ホンダの小川智コーチ(39)は「1月末の練習中にも右足ふくらはぎの張りを訴えていたが、10日ほどで完治はしていた。今は病院で診断を受けて、ひとまず休ませたい」と話した。

 設楽は8月からジャカルタで行われるアジア大会については「僕はベルリンマラソン(9月16日)に出たいので、アジア大会は断りました。昨年もベルリンを走っているので、もう1度世界のトップ選手と走りたい。もちろん、記録より勝ちたいですし、経験を積みたい」と話した。

 3、4月は試合には出場せず、5月5日に宮崎・延岡市で行われるゴールデンゲームズから本格的に試合に出場する。練習はこれまで通り国内で行う。「お正月から体が頑張ったので、今はゆっくり休めて、5月のトラックからまた頑張っていく。応援してくださる方も増えたので、期待に応えられるようにやっていきたい。記録もまだ1、2分は伸びる。2年後には1時間4、5分を目標にしたい」と笑顔を見せた。【戸田月菜】