今季世界最高が8種目で誕生した。中・長距離種目が多かったが、男子200メートルではノア・ライルズ(20・米国)が19秒69の今季世界最高タイ、世界歴代10位タイで優勝。20歳の若手が“ポスト・ボルト”争いに名乗りを上げた。女子5000メートルに出場した鍋島莉奈(24=JP日本郵政グループ)は15分10秒91の自己新で9位。世界のトップ選手たちを相手に力を出し切る健闘だった。

 男子200メートルは20日のゴールデングランプリ大阪で圧勝したアイザック・マクワラ(31・ボツワナ)が、一番外側のレーンで好スタートを切った。1つ内側のレーンのライルズはカーブの後半でマクワラを追い上げると、直線に出てきた時点でトップ。マクワラが脚を痛めて途中棄権すると、ライルズが2位以下を圧倒した。2位のジェリーム・リチャーズ(24=トリニダードトバゴ)も昨年の世界陸上銅メダリストだが、0・36秒の大差をつけた。

 「(2位以下の)集団をリードしているとわかって、これは速いタイムが出ると興奮したよ。ラストは僕の強い部分なんだ」

 男子短距離に新たなスター候補が台頭した大会となった。

 男子100メートルでは昨年の世界陸上銀メダリストのクリスチャン・コールマン(22=米国)が注目された。だが、中盤でコールマンが前に出たものの、終盤でルーニー・ベーカー(24=米国)が逆転。追い風2・4メートルで参考記録となったが(追い風2・0メートルまで公認)、9秒78は好タイムといえた。

 コールマンが9秒84で2位。2人とも身長170センチ台と小柄だが、今後の動向に注目すべき存在だ。

 フィールド種目は16~17度と少し肌寒いコンディションも影響したのか記録的には予想を下回った。そのなかでも男子三段跳びのクリスチャン・テイラー(27=米国)は17メートル73で、2位に27センチの大差をつけた。

 また、男子砲丸投げに22メートル53で優勝したライアン・クルーザー(25=米国)も2位に56センチ差をつける圧勝。米国のリオ五輪金メダリスト2人は、世界記録(三段跳びは18メートル29、砲丸投げは23メートル12)に迫っていきそうだ。

 ◆今季の男子200メートル

 3月に20歳のクラレンス・ムンヤイ(南アフリカ)が19秒69の今季世界最高を出し、ライルズがユージーン大会でそのタイムに並んだ。2013年以降の6シーズンでそれを上回るタイムを出したのは、引退したウサイン・ボルト(ジャマイカ)と、ジャスティン・ガトリン(36=米国)の2人だけである。

 たが、ムンヤイが走った南アフリカのプレトリアは記録が出やすい高地。4月の英連邦大会でも4位と敗れ、19秒69の価値も下げてしまった。

 それに対してライルズはダイヤモンドリーグ・ドーハ大会、ユージーン大会と2連勝。ユージーンではマクワラとリチャーズにも勝ち、200メートルでは“ポスト・ボルト”争いの先頭を走っている。