男子短距離の藤光謙司(32=ゼンリン)が、九死に一生を得た。予選1組で登場も、スタートで上体が立ってしまい、20秒92の同組4着。着順で決勝に進出する3着以内を逃し、タイムも自己ベストより0秒79も遅いものだった。レースの感想を聞かれ「結果がこれなので、感想はないです…」とうなだれた。

 今季は両足首の不安を抱えて、思うような練習ができなかった。「最低限のトレーニングでは勝負できるものじゃない。何とか気持ちとアドレナリンで思ったが…」と予選落ちを覚悟。精彩を欠いたスタートについて「自分では意識していないようにしていたが、足の不安でびびって出ている感じがあって。初速が出ないと、後半苦しくなる。中盤に(スピードに)乗ってきたところで足を動かしたが、時すでに遅し、ですね」と“敗因”を分析した。

 しかし取材エリアにいる最中に始まった予選2組で4着が20秒90、5着が20秒94だった。わずか0秒02差でタイム順で救われて、全体の8番目で今日24日の決勝に進むことが決まった。

 結果を見守った藤光は「チャンスをもらえたらしいので…。神様が助けてくれた。ガムシャラにやるしかないですね。足1本ちぎれるぐらいの気持ちでやります」と照れくさそうな表情で取材エリアを後にした。