戸辺直人(26=つくばツインピークス)が男子走り高跳びで2メートル24の4位に入り、ダイヤモンドリーグ最終戦(31日・ブリュッセル)出場資格を得る快挙を達成した。注目の女子200メートルは、ショーネー・ミラー・ウイボ(24=バハマ)が22秒15の大会新で優勝した。男子100メートルはクリスチャン・コールマン(22=米国)が9秒94で制した。気温が21度とこの時期にしては低かったこともあり、記録は全体的に低調だった。

 戸辺が4位でダイヤモンドリーグ・ポイント5点を獲得した。7月のモナコ大会の5点(4位=2メートル27)と合わせて今季累計は10点。第12戦終了時点の年間順位は8位で最終戦への出場資格を得た。

 ダイヤモンドリーグは2010年発足と歴史が浅いが、その間にも年間チャンピオン決定システムや、最終戦出場条件も変更されてきている。過去にも最終戦に出場した日本選手はいたが、年間のポイント累計で資格を得て出場するのは戸辺が初めてだ。

 戸辺の豊富な海外経験がそれを実現させた。モナコでは会場の設営が以前に出たときと変更され、助走歩数を6歩しかとれなかった。バーミンガムは通常の9歩をとることができたが気温が低く、体調的にも時差調整が上手くできなかった。コンディションが万全でないなかでも最低限の力を発揮できることが戸辺の強みだ。

 「(バーミンガムは)跳躍はまったくまとまらず、難しい試合でした。その状態でも跳び始めた2メートル16から、20、24とミスなく1回目でクリアできたことは良かったと思います」

 モナコ、バーミンガムとも7月にイタリアで跳んだ2メートル32(日本歴代2位)とは差があったが、外国勢も記録を落としていた試合。自己記録が上の選手たちと戦っての連続4位は高く評価できる。

 戸辺は帰国してすぐにジャカルタに入り、アジア大会で金メダルを狙う。今年は海外を転戦しながらアジア大会に合わせることが最大目標だ。

◆今季の男子走り高跳び

 昨年の世界陸上金メダリストのムタス・エッサ・バルシム(27=カタール)が2メートル40を2試合でクリアするなど、安定した強さは群を抜いていた。だが、7月の試合でケガをして今季の試合出場は絶望視されている。

 モナコ大会に2メートル40で優勝したダニル・リセンコ(21=ロシア)は個人資格で試合に出場していたが、ドーピング検査で求められた居場所情報提出を怠ったため、個人資格を暫定的に取り消されている。

 今季世界リスト3位は2メートル36のドミトリー・ナボカウ(22=ベラルーシ)、4位は2メートル35のブライアン・マクブライド(26=米国)とマテウス・プルジビルコ(26=ドイツ)。

 2メートル32の戸辺は11位タイだが試合では上位に食い込んでいる。バーミンガムではマクブライドとプルジビルコが2メートル20しか跳べず、戸辺がその2人に勝っている。

 ダイヤモンドリーグは昨年、年間合計ポイントではなく、最終戦の優勝者が年間チャンピオンになる規定に変更された。戸辺はバーミンガムの試合後に自身のツイッターに、「今日の借りはファイナルで返す」と力強く書き込んでいる。