全日本実業団対抗女子駅伝予選会(福岡・宗像市)で、岩谷産業の第2区飯田怜(19)が残り約200メートルで走れなくなり、四つんばいでたすきを渡したことについて、同チームの広瀬永和監督(53)は、レースから一夜明けた22日、取材に応じて大会主催者側に「(レースを)やめてくれ」と伝えていたことを明かした。

同監督は、レースを各チームの指導者が集まる監督室で見ていた。「(飯田が)倒れたのを見て、四つんばいではいつくばっているのを見た。あと何メートルかがわからなかったけど、大会役員に『やめてくれ』といいました。あの状況をみたら、どの指導者でもとめる」。

ただ同監督の意図がコース上の大会役員に届くまでタイムラグが生じた。飯田は両膝をすりむきながら、たすきを渡した。同監督は、主催者側から「(役員に)伝わるのに時間がかかった。(伝わった時に)あと15メートルで選手(飯田)が動いていたから、見守ってしまった」と説明されたという。

飯田は右脛骨(けいこつ)骨折で全治3~4カ月と診断され、福岡県内の病院に入院。同監督は「(レース棄権の)意図がスムーズに伝わる形にしてもらわないといけない」と、主催者側に改善を求めた。日本実業団陸上競技連合の友永義治専務理事は「(レース中に)早急に監督と連絡を取れる態勢を構築することは必要」と述べた。

岩谷産業は最終的に21位に終わり、本大会出場を逃した。