東洋大が往路新記録の5時間26分31秒をたたきだして2連覇を飾った。山登り5区の田中龍誠(2年)がゴールテープを切った。

4区では2位東海大に2分48秒差のトップでタスキを受けた。東海大の西田壮志(2年)に一時は1分以上の差を縮められるなど、迫られる場面もあったが、自分を信じて前を向いた。力を出し尽くしたゴール後は待ち受けたチームメートにもたれかかった。

1区で西山和弥(2年)が大迫傑以来となる、2年連続区間賞の快走でチームに勢いをつけた。

西山の調子は、この日まで決して良くはなかった。10月の出雲駅伝では区間6位、11月の全日本駅伝では区間14位と不振が続いた。それでも酒井俊幸監督(42)は「東洋大の成績は彼の走りの影響が大きい」と発破をかけて「箱根路で復活して欲しい」と期待していた。その監督の期待に、2年連続の区間賞で応えた西山は「周りに申し訳ないレースばかりしていた。チームメートの支えで区間賞がとれた」と振り返った。

3区で1度は青学大に逆転を許したがあきらめない。4区で、青学大から8秒差の2位でタスキを受けた相沢晃(3年)が1時間0分54秒と、区間記録を1分以上短縮する区間新で首位を独走。4区を終えて、2位東海大に2分48秒、3位青学大に3分30秒差をつけ、往路連覇を確実にした。5区田中はしっかりとリードを守ってゴールした。

2018年のマラソン界を引っ張った、東洋大OBたちの活躍に負けない走りだった。18年2月の東京マラソンで設楽悠太が日本記録を更新(現在2位)すると、12月の福岡マラソンでは服部勇馬が歴代8位を樹立。教え子らの活躍に酒井監督が「先輩たちも箱根駅伝でさまざまな経験をしてきた。時には涙を流したし、区間賞も取った。その先輩へのリスペクトと彼らが生んだ土壌を信じて、後輩たちにも箱根駅伝でひるまずに前へ進んで欲しい」と選手に期待していた通りの結果を出した。

今大会は金色のジャージーを着用している。東洋大の大学カラーと言えば鉄紺色だが、第95会大会という節目の大会で5年ぶりの総合優勝にかける思いを込めて酒井監督が提案した。

2位東海大に1分14秒差、5連覇を狙う6位青学大とは5分29秒差。酒井監督は「往路を優勝して、なおかつ、どれぐらいの差をつけられるか。往路が終わって1分以上は欲しい」と話ていた。総合優勝への黄金ロードが、はっきりと見えてきた。

レース後、酒井監督は「ベストの走りをしてくれた。序盤西山が区間賞。3区で青学大の(区間新の)森田くんで参ったと思ったが、4区で相沢が流れを戻してくれた。理想の流れだった。この1年間、さまざまなことあったが走り、内面と成長できた」と笑顔を見せた。

5年ぶりの総合優勝へ「まだ気の抜ける差ではない。東海大の6区も力ある選手」と最後は表情を引き締めた。