国学院大が6位だった往路最高順位を3位に更新した。今季のスローガン「歴史を変える」を文字通り実行できたのは、5区で浦野雄平(3年)が区間新の大躍進を見せたからだ。

スピードアップすると決めていた残り約9キロの小涌園前で、右ふくらはぎがつる。想定外の展開に、今度は頭をフル回転させた。痛めた部位は「ギリギリの力加減」に抑え、痛みのない太ももと尻の力で山道を蹴った。残り約5キロ、下り始める芦之湯では左ふくらはぎもつった。それでも、5区では史上初の1時間10分台を出した。

今夏、左腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)と股関節の炎症に苦しめられ、1カ月治療した。それでも夢の2区を走りたいと、努力を続けた。しかし、走りたかった2区は主将の土方に譲り「全く希望しなかった」5区を11月末に言い渡された。山の準備は皆無だったが「登りは苦手ではなかった」と、あっけらかんと新記録をたたき出した。

一方で前田康弘監督は、昨年の大会後すぐ、次大会は浦野を5区に据えようと決めていた。「昨年は浦野の希望通り1区(区間2位)を走らせた。今年はチームのためを優先させた」。

5区の区間新を出せばついて回るのが「山の神」という称号。しかし、浦野は「(距離が長かった)歴代の神よりはかなり劣る。謙虚な姿勢で行きたい」と遠慮がちに話した。

前田監督は「この記録だったら来年も5区走らせなきゃですかね」と話す一方で、浦野は「僕の中では2区で勝負したい」と、花の2区への思いは強かった。