陸上男子短距離のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が日本人初となる公認記録での2度目の9秒台をマークした。追い風0・8メートル条件下、9秒97。3位だった。桐生祥秀(23=日本生命)の持つ日本記録9秒98を上回る、日本新記録だった。

1位は9秒83のディバイン・オドゥドゥル(22=ナイジェリア)だった。

サニブラウンは先月11日に9秒99(追い風1・8メートル)で日本人2人目の9秒台をマーク。5日の予選でも追い風2・4メートルの参考記録ながら9秒96を出していた。再び9秒台を出す快挙を予感させていた。

もともと「10秒切り」への執着はない。東京・城西高時代から「持つなら大きな目標がいい」と当時の日本記録10秒00でなく、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が持つ世界記録9秒58を目標に掲げた。もちろん今も本気で目指している。「10秒00」も「9秒99」も認識は同じ。米大学南東地区選手権で自己記録を一気に0秒06縮めたように、「10秒の壁」という意識は存在しない。また日本に衝撃をとどろかせるタイムを刻んだ。

1921年からの歴史を持つ大会はスターの登竜門だった。81年大会王者は五輪で9個の金メダルを持つカール・ルイス。アテネ五輪、17年世界選手権Vのジャスティン・ガトリンも大会を2連覇している。2年前にはクリスチャン・コールマン(すべて米国)が9秒82という驚異的な記録で優勝し、その2カ月後の世界選手権では銀メダルを獲得した。この日の決勝もサニブラウンも含め4人が自己記録9秒台を持つハイレベルな争い。その中で実力を出し切った。