日本陸連は18日、都内で会見し、男子10種競技の右代啓祐(33=国士舘ク)を世界選手権(27日開幕、ドーハ)代表に“誤選出”していた問題について謝罪した。麻場一徳強化委員長(59)は冒頭「つらい思いをさせてしまったことについて、心からおわび申し上げたいと思っております」と神妙に口にし頭を下げた。

同委員長は、選考要項に「不備があった」と認めた。アジア選手権優勝者(エリア王者)は世界選手権参加標準記録突破と同等の扱いという認識だったが、国際陸連は混成種目など一部は「選手のレベルに基づいて」資格の有無を判断するとただし書きをつけていた。前回17年ロンドン大会からの規定だが当時は日本での適用者なし。「右代選手はアジア王者の前に、リオ(デジャネイロオリンピック)五輪出場者。ひっかかると思っていなかった。想定が甘かった」と非を認めた。

右代の今季ベストは7872点。出場枠24人で参加標準記録8200点の突破者が21人。24人目は南米王者の8046点だった。右代の得点は世界ランク39位(1国3人)で国際陸連が「エリア王者だが、出場するレベルにない」と判断した形。ただ、自己ベストは8308点。麻場委員長は「このままでは出場できないリスクがあると知ったら、海外試合に出ていたことも当然ありえたと思う」。

日本陸連には6日に資格なしの連絡が届いた。2日後に右代を指導する岡田監督に連絡。同監督は「100%駄目になってない。最後までちゃんとやって」と国際陸連への働きかけを求めた。日本陸連は抗議と再考を促したが、同13日に却下。麻場委員長は再三、右代への説明と謝罪の機会を求めたというが、同監督から「今はそのタイミングじゃない」と断られたという。現状、棄権した選手が出た場合、右代を代役としてもらうよう働きかける以外方法はない。同委員長は「まずは右代選手にちゃんと謝罪して、説明したい」と話した。【益田一弘】