京大卒の金メダリストが誕生した。男子20キロ競歩で山西利和(23=愛知製鋼)が1時間26分34秒で優勝した。五輪、世界選手権を通じ、同種目で日本勢がメダルを獲得するのは初だった。日本は鈴木雄介(31=富士通)に50キロに続き、20キロでも、ダブル金メダルを獲得した。

7キロ付近で、集団を抜け出す積極策。首には冷却タオルを巻き、高温多湿な環境を歩き切った。2日前の会見では「当日のパフォーマンスにすべてを注ぎたい。金メダルを最大のターゲットとして、練習をしてきた。やるべきことの最後の手順を1つずつ踏んでいけば、結果は付いてくる」と意気込んでいた。3月の全日本競歩能美大会では世界歴代4位、日本歴代2位となる1時間17分15秒を出していた。優勝候補に挙げられていた、その実力を発揮した。

山西は京都・堀川高から京大工学部に現役合格。今大会の50キロで金メダルを獲得した鈴木雄介(31=富士通)らを育てた内田隆幸氏の指導を定期的に受け、課題を持ち帰り、独自で力を磨いた。強豪で育ったわけではない自分を「雑草」と表現していた。「京大卒」の肩書でも注目を浴びていた男。競技で世界の頂点に立った。

50キロは15年世界選手権銅、16年リオデジャネイロ五輪銅、17年世界選手権銀、銅メダルを獲得した一方で、20キロは今まで世界の壁に阻まれていた。前評判は高かったが、6位が最高だった。それを山西が打ち破った。

これで東京オリンピック(五輪)の代表に内定した。1年後の大舞台。そこにも大きな期待が膨らんだ。