駒大の大逆転Vで幕を閉じた大会には、やはり一定数の観戦者が集まってしまった。特に都内が顕著で、ゴール地点の東京・大手町には、拍手だけでなく、カメラやスマートフォンでランナーを撮影する人が多く詰めかけた。「密」に見えるエリアがあった。

新型コロナウイルス感染拡大下の開催。主催者は「応援したいから、応援に行かない」というキャッチコピーとテレビCMを何度も流して観戦自粛を求め、中継局の日本テレビ系も現地応援を控えるよう協力を求めるテロップを出し、呼び掛けてきた。大会本部は前年比で約85%減となる18万人が今年の観戦者数だったと発表したが、人垣ができるポイントもあった。

復路6区9・0キロ地点の箱根小涌園前では、創価大・浜野将基(2年)がトップ通過した際、沿道から拍手が沸き起こったのを皮切りに、スタート時の2分21秒差を1分8秒差に縮めた区間賞の駒大・花崎悠紀(3年)ら、選手が駆け降りるたびに拍手が飛んだ。

一方、小涌園前で、ぴょんぴょん跳ねて応援する姿が恒例となっていた日帰り温泉テーマパーク箱根小涌園ユネッサンのキャラクター「ハコネコ ボザッピィ」は、往路に続いて沿道には姿を見せず。同施設の公式ツイッターによると、コースを見下ろせる屋内から応援している。

時間の経過と、都心へ近づくとともに“客足”は増えていった印象。8区15・6キロ地点の遊行寺坂付近では一部沿道が人で埋まり、中継カメラに向かって手を振るファンや、かぶり物をした観戦者の姿も。このほか、社会的距離の確保が難しく見える場所もあった。9区7・8キロ地点の権太坂にも多くの観戦者が詰めかけ、拍手や旗を振って応援する人がテレビ中継に映っていた。

例年は7区14キロ地点の二宮付近に姿を見せている、人気漫画「ドラゴンボール」のボスキャラ「フリーザ」の装いをした集団は、今年は現れなかった。自粛要請に応じて現地入りは控えた模様で、SNSでは「フリーザ様を見習え」などの文字もあふれていた。