予選8位で初の本戦出場を決めた駿河台大に、31歳の異色選手がいる。今井隆生(4年)。箱根駅伝出場を目指し、埼玉県の中学校体育教師を2年間限定で休職。昨年、同大心理学部3年に編入した。来年3月に卒業予定で、個人的にはラストチャンスだっただけに、うれしい初出場となった。10歳以上年が離れたチームメートに「オールドルーキー!」と声を掛けられ、胴上げされると、「すみません。ありがとう」と恐縮した。

今井にとって、チームメートの永井竜二(3年)は教師として駆け出し時代の教え子だ。永井は出会った当時、中3だった。「初めて今日ここで負けて悔しい半面、うれしい気持ちもあって。一緒に同じゴールを見て走ってきて、同じ景色を見られて、これ以上ないな、と思います」。今井はかつての教え子とも一緒になって、初出場の切符をつかんだことを喜んだ。

チームでは精神的支柱となっている一方で、10歳以上年下のチームメートに、ジェネレーションギャップを感じたこともあった。「こちらは年齢から準備をするが、彼らは若いから勢いでいくこともある。うまくいかない時もあったけど、彼らからも影響を受けました」。チーム内では10位。満足いく結果ではなく、ゴール後に頭を抱えた。「後輩たちに感謝したい。鼓舞しなければならないのに、最後の最後に助けてもらった。後輩たちに感謝です」と涙をぬぐった。

徳本一善監督は今井の走りについて「今日の結果は予定外。プレッシャーの方が大きかったのでは」と心境を思いやりながらも「本戦では、それでは困る。置き土産じゃないけど、いい締めくくりにしてほしい」。本戦に向けて、“オールドルーキー”にハッパを掛けた。

 

▽個人成績上位 (1)カマウ(武蔵野学院大)1時間1分23秒(2)ディランゴ(流通経大)1時間1分41秒(3)キプリモ(日本薬科大)1時間1分47秒(4)ビンセント(国士舘大)1時間1分49秒(5)ラジニ(拓大)1時間1分52秒(6)ブヌカ(駿河台大)1時間2分15秒(7)オニエゴ(山梨学院大)1時間2分15秒(8)栗原啓吾(中央学院大)1時間2分46秒(9)加藤大誠(明大)1時間2分47秒(10)高瀬桂(専大)1時間2分49秒