初出場の駿河台大が、4区から5区の小田原中継所で“先生と生徒のたすきリレー”を実現させた。

【箱根駅伝往路】ライブ速報>>

中学教師を休職している、31歳の今井隆生(4年)が4区を区間20位。チームも18位から最下位の20位となったが、かつての教え子で5区の永井竜二(3年)は笑顔で待っていた。たすきをつなぐと、法大時代に「爆走王」として話題を集めた、徳本一善監督(42)に「ありがとう」とねぎらわれ、涙を流して崩れ落ちた。

走り終えた今井は「前日も永井と頑張ろうと話していた。誰もができることではない。永井と僕を結んでくれた監督にも本当に感謝しています」と、かみしめるように話した。箱根駅伝出場を夢見て埼玉県の中学体育教師を休職。20年に駿河台大心理学部3年に編入した。永井は駆け出しの教師時代の教え子。避けたかった最下位に転落したが、徳本監督からはレース中に「謝ってきたらぶっ飛ばすぞ。全部起用したオレの責任。お前に今できることは何だ。死ぬ気で腕を振れ」と、ゲキを受けた。走り終えると涙腺が崩壊した。

夢を追う今井を、かねて永井は「姿勢や取り組み、全て箱根駅伝を第一に考えていた」と尊敬しており、結果に不満などあるはずもなかった。4月から復職する今井の人生を懸けた挑戦は、大学に新たな歴史を、後輩に勇気をもたらした。