全国都道府県対抗女子駅伝が16日に行われた。コロナ禍で中止となり、2年ぶりの開催となった今大会は、地元・京都が2年ぶり18回目の優勝を飾った。「陸上界のフワちゃん」こと、拓大のスーパー1年生、不破聖衣来(せいら、18)は、群馬からエントリーし4区(4キロ)で驚異の13人抜きを達成。重ねて、区間新記録をたたき出した。1区(6キロ)には東京オリンピック(五輪)代表の田中希実(兵庫=豊田自動織機TC)、最終9区(10キロ)には一山麻緒(鹿児島=ワコール)、広中璃梨佳(長崎=日本郵政グループ)が出場。京都ラストランとなった福士加代子(青森=ワコール)は28位でフィニッシュした。

区間賞と優秀選手賞のトロフィーを手に笑顔を見せる群馬4区の不破(撮影・前田充)
区間賞と優秀選手賞のトロフィーを手に笑顔を見せる群馬4区の不破(撮影・前田充)

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皇后杯 第40回女子駅伝地図
皇后杯 第40回女子駅伝地図

◆レース経過

※タイムは速報値

1区 6キロ (たけびしスタジアム京都~衣笠校前)

◆スタート地点 12時30分、号砲。現地の天気は晴れ、8度。兵庫は1区に東京五輪1500メートル8位入賞の田中希実。

◆1キロ過ぎ 石川・五島莉乃が果敢に前へ出て先頭へ。田中がその後ろにぴったりとつけ、着実に後続との差を付けていく。

◆3.8キロ付近 石川・五島が仕掛け、田中引き離す。五島が独走態勢へ。

◆第1中継地点 石川・五島、区間新記録にわずかに届かずも、歴代2位の18秒41の好タイム。トップでたすきをつなぐ。兵庫は2位で田中から、西脇工高校の後輩・後藤夢につなぐ。

五島莉乃(石川)「タイムはあまり気にしていなかった。いい記録で走れて良かったです。田中さんと勝負するのは早い段階でペースアップするか、速いペースで押していくか。プラン通りに走れた」

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田中希実(兵庫)「いまある力は出せた。タイムとしても後半はまったく動いていなかったわりに悪くはないと思って、19分を切ったか切らないかで、まだこのコースで19分を切ったことがなかったので、そこは自分のなかでは良かった方だった。調子やウオーミングアップのときは1区への苦手意識とかで五輪よりも硬くなってしまった。アップからいつもの自分じゃない気はしていた。そこはやっぱりのまれてしまったというところがある」

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一斉にスタートする兵庫・田中(右)ら1区の選手たち(撮影・前田充)
一斉にスタートする兵庫・田中(右)ら1区の選手たち(撮影・前田充)
一斉にスタートする兵庫・田中(右から4人目)ら1区の選手たち(撮影・前田充)
一斉にスタートする兵庫・田中(右から4人目)ら1区の選手たち(撮影・前田充)
1区、先頭で兵庫の田中(左)を引き離す石川の五島(代表撮影)
1区、先頭で兵庫の田中(左)を引き離す石川の五島(代表撮影)
1区で力走し、たすきを渡す兵庫・田中希実(右)(撮影・山田愛斗)
1区で力走し、たすきを渡す兵庫・田中希実(右)(撮影・山田愛斗)
1区トップでたすきを渡す石川・五島莉乃(右)(撮影・山田愛斗)
1区トップでたすきを渡す石川・五島莉乃(右)(撮影・山田愛斗)
1区で区間3位と力走した宮城・杉森(右)(撮影・山田愛斗)
1区で区間3位と力走した宮城・杉森(右)(撮影・山田愛斗)

2区 4キロ (衣笠校前~烏丸鞍馬口)

◆1.5キロ過ぎ 兵庫・田中が石川・澤井柚葉を捉え、先頭へ。

◆第2中継地点 兵庫・後藤、ラスト1キロ付近から猛追してきた宮城・清水萌を振り切りトップでたすきリレー。宮城とはその差2秒。大阪が3位に順位を上げる。

3区 3キロ (烏丸鞍馬口~丸太町河原町)

◆1.5キロ付近 兵庫・吉川菜緒が快調な走り。後続を引き離し、首位を守る。

◆第3中継地点 1位兵庫、2位福岡でたすきをつなぐ。注目ランナー、群馬・不破聖衣来は22位でスタート。トップとの差は1分29秒。

4区 4キロ (丸太町河原町~北白川山田町)

◆1キロ付近 福岡・逸木和香菜、兵庫・大西ひかりをかわして先頭へ。

22位でスタートした群馬・不破はスタート早々に3人抜き、安定の走りを見せる。

◆3キロすぎ 福岡・逸木が単独トップへ立つも、宮城の超高校級・米澤菜々香が力走。当初あった20秒以上の差を縮め、福岡をかわして先頭へ。

◆第4中継地点 1位宮城、2位福岡、3位兵庫、4位京都、5位大阪。

群馬・不破は12分29秒の区間新をたたき出した。高低差あるコースをものともしないスピードで大量13人抜き。9位でたすきをつなぐ。

「前にいる選手をひたすら追いかけて、こういう記録を出せてうれしい。少しでも前で渡したかった。今年は世界選手権に出場できるよう頑張っていきたい」。今日も耳元にはお花型のピアスが光る。

区間賞と優秀選手賞のトロフィーを手に笑顔を見せる群馬4区の不破(撮影・前田充)
区間賞と優秀選手賞のトロフィーを手に笑顔を見せる群馬4区の不破(撮影・前田充)
区間賞と優秀選手賞のトロフィーを手に笑顔を見せる群馬4区の不破(撮影・前田充)
区間賞と優秀選手賞のトロフィーを手に笑顔を見せる群馬4区の不破(撮影・前田充)

5区 4.1075キロ (北白川山田町~国立京都国際会館前)

◆第5中継地点 順位変動を繰り広げながら、1位宮城、2位兵庫、3位福岡、4位京都、5位大阪でたすきリレー。

レースは後半へ。

6区 4.0875キロ (国立京都国際会館前~北白川別当町)

◆2キロ付近 中間点を通過。兵庫・石松愛朱加が宮城・壁谷衿奈の背中に追いつく。

◆3キロ付近 兵庫・石松、宮城・壁谷をかわし3秒差をつける。

◆第6中継所 兵庫が大会記録を14秒上回る1:20:33でトップ。

7区 4キロ (北白川別当町~丸太町寺町)

◆第7中継所 1位宮城、2位京都、3位兵庫、4位大阪、5位福岡。

8区 3キロ (丸太町寺町~烏丸紫明)

◆2キロ付近 中学生区間に突入。京都・山田祐実がラストスパートかけ、宮城・水川月香綾を抜く。この日初めて先頭へ。

◆第8中継所 京都がトップで東京五輪1万メートル代表の安藤友香へたすきをつなぐ。

福岡・川西みち、区間新となる9:30の快走で順位を2位に押し上げる。

青森は25位でアンカーの福士加代子に最後を託す。笑顔でたすきを受け取った福士は、今回が京都ラストラン。沿道からは福士にねぎらいと激励の声が飛ぶ。

9区 10キロ (烏丸紫明~たけびしスタジアム京都)

◆1キロ付近 京都・安藤が単独走。2位は福岡、兵庫、宮城が三つ巴。

東京五輪女子マラソン8位入賞の鹿児島・一山麻緒は10位で前を追う。

◆4.6キロ付近

木村友香が集団から抜け出し、単独2位へ。優勝争いは京都、福岡の2つに絞られたか、両者の差は11秒、700メートル。

5000メートル日本記録保持者の長崎・廣中璃梨佳は6位集団を走る。

◆5キロ付近

最後の京都を走る39歳、福士は25位で通過。

◆7キロ付近

京都・安藤が盤石の走り。福岡・木村の差を17秒差に広げる。

◆ゴール

京都が2時間15分05秒で2大会連続18回目の優勝。2位福岡に20秒以上の差をつけ、安藤が笑みをうけべてゴールテープを切った。


1位でゴールテープを切る京都アンカーの安藤(撮影・前田充)
1位でゴールテープを切る京都アンカーの安藤(撮影・前田充)
1位でゴールテープを切る京都アンカーの安藤(撮影・前田充)
1位でゴールテープを切る京都アンカーの安藤(撮影・前田充)

2位に福岡、3位宮城、4位兵庫。長崎・廣中がラストスパートかけ、順位を一つ上げ5位でフィニッシュ。

6位大阪、7位愛知、8位福島。青森のアンカー福士は28位でフィニッシュ、ゴール後には関係者から大きな花束を受け取り笑顔。


笑顔でスタンドに手を振りゴールに向かう青森・福士加代子(撮影・前田充)
笑顔でスタンドに手を振りゴールに向かう青森・福士加代子(撮影・前田充)
28位で笑顔でゴールする青森アンカーの福士加代子(撮影・前田充)
28位で笑顔でゴールする青森アンカーの福士加代子(撮影・前田充)
5位でゴールする長崎アンカーの広中(撮影・前田充)
5位でゴールする長崎アンカーの広中(撮影・前田充)
11位でゴールする鹿児島アンカーの一山(撮影・前田充)
11位でゴールする鹿児島アンカーの一山(撮影・前田充)