<東京国体:陸上>◇6日◇味の素スタジアム

 男子走り高跳び日本記録保持者の醍醐直幸(33=ニューモード、東京)が地元国体を最後に一線を退く。「調子も上がって来ていたし結果にもこだわった」が、試技中に痙攣に見舞われたこともあり2メートル03で16位に終わった。

 苦労人ジャンパーと言われた時期もあった。高校チャンピオンとなったが大学2年以降に低迷。大学卒業後はアルバイト生活をしながら競技を続け、2005年のヘルシンキ世界陸上に出場した。

 その実績が認められて2006年に25歳で富士通入り。同年7月に2メートル33の日本新に成功した。日本人としては13年ぶりの大台突破で、五輪や世界陸上で入賞が望めるレベルに達した。「2005年の大阪府選手権で2メートル27を跳んだのがターニングポイントとなりました。初めて世界陸上の標準記録を突破しイケるんだと思った」。

 だが、2007年の大阪世界陸上、翌年の北京五輪と世界に挑戦し続けたが予選を突破することができなかった。世界への挑戦は苦戦の連続だった。「実力不足。大きな大会で力を出し切れず、選手としてはイマイチでした」。

 2010年の冬に踏み切り足の左足首を故障。そこから完全に立ち直ることができなかった。「足首は自分にとって生命線ともいうべき部分。体力的にも年々落ちていくのがわかりました」。

 醍醐の最後の全国大会となったが、今国体では後輩選手たちが頑張った。衛藤昂(22=筑波大、三重)が2メートル27で優勝し、3人が2メートル24以上をクリアした。「僕が大学を卒業した頃は代表を出せず、注目度の低い種目でした。今日の上位3人は世界を狙える選手たちだと思う。日本の走り高跳びが世界に挑み続けるための、つなぎの役は果たせたのかなと思います」。

 今後は、今年から非常勤講師を務める東京高などで後進の指導に当たり、自身の経験を伝えていく。