<高校総体:陸上>◇29日◇沖縄総合運動公園陸上競技場◇男子400メートル決勝

 埼玉栄・山崎謙吾(3年)が47秒79で、史上5人目となる2連覇を飾った。中学時代はサッカー部に所属し、高校入学後に本格的に競技をはじめた発展途上のスプリンター。12年ロンドン五輪を視野に入れ、「まだまだ記録を伸ばせる」と、さらなる飛躍を誓った。

 山崎は最終コーナーまで先行されたが、ホーム直線で一気に抜き返した。2位に入った修道(広島)・茅田昴(3年)との差は、わずか0秒37。ゴールするまで優勝したことが分からなかった。電光掲示板で確認すると、小さくガッツポーズした。「インターハイに懸けていた。本当にうれしい」。30日は18歳の誕生日。前祝いとなる2連覇の快走に、胸を張った。

 昨年の王者が、今年に入ってスランプに陥った。タイムに伸び悩んで、高校ランクも2位に落ちた。それだけに今回の優勝は大きな意味があった。今年6月には男子では高校生でただ1人日本選手権に出場。国内トップと走ったことが、プラスになった。「日本選手権の経験がなかったら、優勝できなかった。出ている人たちの行動すべてが勉強になった」。昨年の優勝記録46秒83には届かなかったが、スランプを脱出した手応えがあった。

 実は茨城・中郷中時代はサッカー部。足の速さを買われ陸上部と掛け持ちし、県大会で優勝したことが競技変更のきっかけになった。「迷ったけど、足がどこまで通用するか挑戦したかった。やるなら強豪で」と名門埼玉栄に入学。競技歴わずか3年ながら、飛躍的な成長を遂げてきた。今年7月の世界ジュニア200メートルで中央大・飯塚翔太(1年)が男子種目史上初の金メダルを取ったことも、刺激になっている。「世界で活躍できる選手になるのが夢」。自信を取り戻したスプリンターが、2年後のロンドン五輪に目を向けた。