<アジア大会:陸上>◇男子やり投げ◇26日◇中国・広州

 日本代表の主将を務める村上幸史(30=スズキ浜松AC)が、圧勝で金メダルを獲得した。2投目に昨年8月のドイツ世界陸上で記録した自己ベストを5センチ更新する83メートル15センチ。過去2大会は銀メダルだったが、「勝ちたいではなく勝たなくてはいけない」と臨んだ大会で結果を出した。

 恩返しをしたかった。日本オリンピック委員会副会長などを歴任した小掛照二氏が5月に他界した。成長を見守り続けただけでなく、左足脛骨(けいこつ)の手術を迷っていたときに、背中を押してくれたのが同氏だった。「いろいろな思いの中で結果を出せたことは、人間としても選手としても成長できたと思う」。主将の重責と恩師への感謝を胸に、頂点に立った。

 昨年の世界陸上銅メダルは「驚き」。今回の金メダルは「自信」と心情を明かした。「密度の濃い戦いになった。大邱につながると思う」。アジアの王者は来年8月に韓国・大邱で行われる世界陸上で、再び世界に挑む。【鎌田直秀】