<アジア大会:陸上>◇女子マラソン◇27日◇中国・広州

 男女同日開催されたマラソンで、日本女子が惨敗を喫した。前回2位の嶋原清子(33=セカンドウィンドAC)が2時間32分11秒の5位、加納由理(32=同)が2時間36分40秒の7位に終わった。ともにレース前半で失速。日本勢としてはこの種目が採用された1986年ソウル大会から7大会目で初めてメダルを逃した。

 日の丸をつけた女子2選手は優勝はおろか、メダル争いにすら加われなかった。まず9キロ手前で嶋原が、続いて18キロ付近で加納が先頭から脱落した。一時7位に落ちた嶋原は終盤粘って5位に上げるのが精いっぱい。優勝した周春秀(中国)からは7分以上も遅れた。さらに4分後、加納が痛めた右足を引きずるようにゴール。軽い目まいを覚えた嶋原とともに、すぐに医務室に搬送された。

 舞台は起伏が激しく、勝負強さが求められた。ただ嶋原は先頭を率いた中国勢の揺さぶりに、あっさり白旗を上げた。「(優勝した)周さんが上げたペースについて行くのは難しいと思った。つかずに様子を見た」。夏場の疲労から腎機能が低下し、10日間も入院。「メダルに絡むレースがしたかった」と涙ぐんだ。

 加納は重圧に押しつぶされた。前夜は何度も目が覚めた。「朝も吐き気があった」という。9月の米合宿中に帯状疱疹(ほうしん)ができるなど、こちらも夏場に体調を崩した。ピークを合わせる調整に失敗。スタートラインに立つ前から勝負はついていた。

 前回ドーハ大会を周が制したのに続き、今回も中国勢が金、銀メダル独占。日本女子は2年前の北京五輪でトップ10にも入れない惨敗を喫しており、完全にアジアの盟主の座を明け渡した格好だ。

 日本陸連の長距離・ロード特別対策委員会の河野匡副委員長は「選考方法も含めて、戦略的に戦っていかないとアジアからも遅れてしまう」と危機感を募らせた。今回の出場はともに30代。これが期待の若手不在を如実に示している。嶋原は「若い子の育成に力を入れないと、日本は離されてしまう」と訴えた。現時点で、決定的な打開策は見当たらない。【大池和幸】