陸上男子400メートル障害の為末大(32)が今月2日に結婚したことが6日、分かった。お相手は米カリフォルニア州の大学院に通う同じ32歳の日本人女性で、すでに為末が活動拠点を置く米サンディエゴ市内で同居している。近年は故障に悩まされ、08年の北京五輪出場後は治療に専念してきたが、今春からレースに復帰予定で、日本選手権(6月、熊谷)、世界選手権(8月、韓国・大邱)に照準を定める。来年8月のロンドン五輪へ向けて、「侍ハードラー」が二人三脚で復活ロードを歩み出す。

 再起をかける為末が、二人三脚でロンドン五輪を目指すことになった。既に米サンディエゴ市内で同居しており、郵送にて婚姻届書を取り寄せ、署名捺印(なついん)。それを日本へ送り返し、広島県在住の母が代理として今月2日に届け出た。為末は「結婚したことで、より一層競技に打ち込める。これもロンドンまでの環境づくりの一環。集中して五輪を目指せる」と喜びのコメントをした。

 相手は米国で大学院に通う日本人女性。06年夏に知人の紹介で知り合い、4年半の交際を経てゴールインとなった。相武紗季に似たスレンダー美人で、スキューバダイビングが好きなスポーツウーマン。料理も得意という。また、英語が堪能で大学院では「平和・紛争解決学」を専攻。為末は「知的な雰囲気があり、自分とは世界観が違う。思慮深く、とても興味深い女性」と言う。

 為末は08年8月の北京五輪に出場したが、実力を発揮できず1次予選で敗退した。「ボロボロになるまで走り続ける」と競技続行を宣言したが、その後は両ひざの故障に加え、左アキレス腱(けん)痛まで発症。五輪後は大会に参加できず、治療に専念してきた。そんな苦難の時期を支えてくれた女性との結婚を機に、11年は「侍ハードラー復活」を誓っている。

 09年2月から活動拠点を置くサンディエゴでは、米国のナショナルトレーニング施設を使用し、練習に励む。国内外を問わず、まずは3、4月には競技復帰する意向だ。日本記録保持者とはいえ、2年半もレースから遠ざかっている。6月の日本選手権に出場するためにも「まずはちゃんと走って記録を残したい」という。その先にあるのは8月の世界選手権。そこで決勝進出を果たすことが、今季の大きな目標だ。

 国内での結婚披露宴などの予定はないが、為末はある計画を思い描いている。12年8月の五輪400メートル障害の決勝直後にロンドン市内で披露パーティーを行うこと-。さまざまなアイデアと行動力で世間をあっと驚かせてきた為末が、心機一転、ロンドンに向けて景気よく走りだした。