<別府大分毎日マラソン>◇5日◇大分市高崎山うみたまご前-大分市営陸上競技場(42・195キロ)
カンボジア国籍でのロンドン五輪出場を目指しているタレント猫ひろし(34)が、自己ベストを大幅更新し、同国代表の座をぐっと引き寄せた。自己ベストを7分以上も縮める2時間30分26秒の力走で、50位でゴール。北京五輪カンボジア代表へム・ブンティンの昨季最高タイム2時間31分58秒を上回り、代表最有力候補となった。猫も「ロンドンの背中が見えた」と手応えを得たが、同国の五輪委員会は猫のタイムを評価しながらも、「2時間25分程度の記録を期待している」と五輪当確のハードルを上げた。
ロンドン五輪へ大きく前進だ。猫はゴールの大分市営陸上競技場に姿を見せると、関係者の「猫さん、ラスト~」の絶叫に歯を食いしばり、トラックを猛スパート。右手でガッツポーズしてゴールに飛び込んだ。昨年11月の東南アジア競技会で記録した2時間37分39秒を大幅に更新する、2時間30分26秒の自己ベスト。谷川真理らを育てた中島進コーチ(62)と抱き合い、両手を天に突き上げた。
喜びは収まらない。報道陣を前に「感謝感激、カンボジア~ン。ロンドン目指して猫まっしぐら~。ニャイス、ランニング~」と叫びながら、猫まねするギャグパフォーマンスも披露。悲願のロンドン五輪出場への手応えを問われ「ロンドンの背中が見えた。見えてきたと思う」と話した。
初めて女子マラソンの実力者で所属先が同じ吉田香織(30=アミノバイタルAC)が、一般参加で猫のペースメーカーを務めた。スタート直後から2メートル前を走るなどして30キロまで先導した。1キロ3分34秒前後できっちりタイムをきざみ、給水ポイントでは水を手渡すシーンも。猫は「引っ張ってもらって感謝。チームでやって感謝です」。
レースでは赤いランニングウエアの右胸にカンボジア国旗を縫いつけた。スタート前に同国の友人から、携帯電話に国際電話がかかってきたという。猫もビックリのサプライズに「応援の電話だった。うれしかった」と発奮した。さらに、レース中の風速は1メートル前後、温度も8度台で曇り。関係者が「記録が出せる日」と話した絶好のコンディションだった。
北京五輪カンボジア代表へム・ブンティンの昨季最高タイム2時間31分58秒を上回ったことで、同国代表の最有力となった。同時にカンボジア五輪委員会から設定された内定基準の2時間31分前後も見事クリアした。猫にとってはこれが五輪前の最後のマラソンで「あとは(結果を)待つだけ」という。選ばれることを前提に、6月にプノンペンで調整レースとなるハーフマラソンに出場する計画を立てている。
中島コーチが「仕事次第。まじめだし、ちゃんと練習すれば2時間20分はいける」と、潜在能力を認める素材。猫も「速くなる予感がある」という。次の目標は2時間27分。ロンドンで更新かと問われ「そうですね。行けるなら」と胸躍らせた。あとは天命を待つだけだ。【菊川光一】
◆猫(ねこ)ひろし
本名・滝崎邦明(たきざき・くにあき)。1977年(昭52)8月8日、千葉・市原市生まれ。目白大卒業後の03年に芸能界デビューし、「ニャ~」のあいさつや「猫ひろし」を連呼するネタなどで人気者になる。07年にテレビ番組の企画がきっかけでマラソンを始め、初マラソンは08年3月の東京マラソン(3時間48分57秒)。これまでの自己ベストは11年東南アジア競技会の2時間37分39秒だった。昨年11月9日にカンボジア国籍を取得。WAHAHA本舗所属。147センチ、45キロ、足のサイズは24・5センチ。家族は妻と1女。血液型A。

