<陸上:京都府私立中・高等学校総合体育大会>◇7日◇京都・西京極陸上競技場

 陸上男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を出した桐生祥秀(17=洛南高3年)が、走り幅跳びに初挑戦した。追い風1・1メートルの1回目にこの日最長の6メートル85を記録した。高校の同僚の犬井亮介に8センチ及ばず2位だったが、規格外のスプリント力を爆発させた。

 助走から会場がどよめいた。桐生がぐんぐんスピードを上げた。「練習は1、2回だった」というように20センチの幅がある踏み切り板に足が合わず、その手前から跳ぶ。全力助走から地面スレスレを滑空。プロレスの低空ドロップキックのような豪快ジャンプを連発。最後の6回目は頭上で両手をたたいて、観衆に手拍子を求めた。左膝をすりむき血が出たが「楽しかった」と笑顔だ。

 この日は幅跳び用のスパイクを使用。靴を準備したアシックス社の関係者は「軽量化している100メートルのスパイクで跳んだら、靴の底が割れる。それぐらい力強いキック」と驚く。89年森長正樹の高校記録7メートル96には届かなかったが、圧倒的な脚力を披露した。

 4月に100メートルで10秒01を出し、短距離以外の種目にトライできなかった。この日は高校最後の大会で「同級生の跳躍を見て、自分も1回やってみたいと思った」。来春進学する東洋大で日本人初の9秒台を狙うが、100メートルと走り幅跳びは関連性が深く「いろんな経験が将来プラスになることがあるかもしれないので」。砂だらけのお尻を払って、高校の陸上生活を締めくくった。【益田一弘】