もはや時代は「花の1区」-。来年1月の箱根駅伝(2、3日)の区間エントリーが29日、発表され豪華メンバーが1区に名を連ねた。学生最速の早大・大迫傑(4年)はじめ、今年の出雲と全日本ともに1区独走で2冠に導いた駒大・中村匠吾(3年)、昨年まで全駅伝区間賞の東洋大・田口雅也(3年)がエントリー。さらに他校も補欠登録のエース級を1区にぶつける構えだ。

 1区でレースが壊れ箱根が終わってしまう-。大迫の配置次第で、そう危ぶむ声はもともとあった。決断した早大の渡辺監督は不敵な笑みを浮かべた。「他大学も分かっていたはず。だから中村君も山中君も来る。それぐらい駒大の3冠阻止の思いが強いのでは」。箱根デビューの11年に区間賞で年度3冠に導き、2年時も区間賞を獲得した大エースが他校をぶっちぎる。

 史上4校目の年度3冠を狙う駒大も、満を持して中村を投入する。総合力を自信に大八木監督も「かなり速くなるね。あのペースに付いていかないときつい」と言葉とは裏腹に余裕の表情。ただ怖いのは、大迫の走りに合わせたオーバーペースによる後半の失速。出雲1区で駒大に離された田口を再度、つぎ込む東洋大・酒井監督も「最初から高速レースになる。ただ1区だけでなく、1~3区のトータルで考えれば」と無理強いは避けたい考えだ。

 この日の「大迫1区」のエントリー発表後、早くもエース級投入を決めた強豪校がある。日体大は山中秀仁(2年)、青学大も一色恭志(1年)のエース級を補欠登録から1区に投入することを、指揮官が断言。日体大・別府監督は「1区が速くなると予想した時、山中は自分(が1区)じゃないかと思ったはず」と力勝負に期待。青学大・原監督も「大迫君に対応できるのは一色しかいない」と力を込めた。号砲直後の大手町から集団がバラけ縦長になるのか、品川の八ツ山橋で動くのか、多摩川にかかる六郷橋でヒートアップするのか-。「花の1区」から目が離せない。【渡辺佳彦】