ジェット桐生×鳥取=9秒台。日本陸連は9日、福島市内で理事会を開いて、9月のアジア大会(韓国・仁川)の日本代表50人を発表した。男子100メートルで日本選手権で初優勝した桐生祥秀(18=東洋大)も選ばれた。100メートルの次戦で6月29日の布勢スプリント(鳥取・コカ・コーラウエストスポーツパーク陸上競技場)に出場。世界最高クラスの高速トラックがある同大会で、タイムアタックに向かう。

 桐生が、さらりと口にした。初の日本王者から一夜明け、アジア大会代表発表の会見に出席。「去年より大きな舞台で力が出せる。後半のスピードが伸びたかなと思う。10秒0台後半は出せる感じ」。10秒0台後半は追い風次第でいつでも9秒台に突入する水準だ。

 日本選手権は雨の中で勝負に徹した。次は自己記録10秒01と戦う。100メートルと200メートルで出場予定の世界ジュニア選手権(7月22日、米国)を前に、布勢スプリントで記録に挑戦する。

 同大会はスーパー高速トラックを持つ。タータンはイタリア・モンド社製「スーパーX」で、ボルトが世界記録9秒58を出した09年世界選手権ベルリン大会と同じものだ。09年には女子100メートルの福島が当時の日本新記録の11秒24をマーク。04年の日本選手権は日本新記録4、08年日本ジュニア・ユース選手権では大会新記録57が飛び出した。

 競技場が好記録をアシストする。風向きに応じ、ホームストレートとバックストレートの2コースを準備。スターティングブロックと写真判定機も2セットある。さらにホーム側のスタート後方にあるシャッターを開閉することで風力調節も可能。鳥取陸上競技協会の関係者は「短距離だけの大会なのでスタート直前まで風向きを見極められる。9秒台を期待しています」。

 桐生は日本学生個人選手権(20日開幕、平塚)で200メートルの日本ジュニア記録(20秒29)更新を狙う。そして6・29、鳥取で爆発する。【益田一弘】