下馬評を覆し大本命・駒大の7年ぶり優勝を阻止するのはどこか-。第91回東京箱根間往復大学駅伝は、明日2日午前8時に、東京・大手町で往路の号砲が鳴る。昨年11月の全日本で4連覇を果たし、選手層の厚さ、経験値の高さで7度目Vを狙う駒大がレースをリードしそうだ。連覇を狙う巧者の東洋大、スピードランナーをそろえた青学大、明大に伝統の早大が追う。3日に大手町でフィニッシュテープを切るのは、果たしてどこか。

 今回の箱根を勝てば学生3大駅伝通算22勝目で、単独トップに立つ駒大。昨年と同じ区間を5人が走るなど、持ち駒は豊富だ。今季は体調不良で前半は棒に振った中村を1区に配したのは、名将・大八木監督のGOサインだろう。ここで集団を散らし、2区の学生界のエース村山でさらにV争いを数校に絞り込む。山では安定感のある馬場、西沢を配し補欠登録の「第3エース」中谷を主要区間に投入。昨年、気負いすぎた村山のようなミスさえなければ盤石の布陣だ。

 双子の設楽兄弟が抜けた東洋大も1、2区にスピードランナーをそろえた。補欠の高久、服部弾も投入される。それでも酒井監督が「5強、6強といわれる中でウチは最下位」と話すように劣勢は否めない。未知数の山登りが鍵を握る。

 楽しみなのはトラックのタイムで駒大を上回る青学大。一色、神野、久保田の3本柱に小椋、藤川らをそろえ原監督が「ウチは2チーム作っても両方ともシード権を取れます」と話すように持ち駒は見劣りしない。勝てば66年ぶりVという最長ブランク優勝になる明大も、全日本MVPの横手に、大黒柱の大六野、有村、文元とエース級をそろえる。5区の区間賞獲得校=総合優勝という最近の傾向から、明大も山登りの文元がキーマンになる。

 エース大迫が卒業した早大には、勇退する渡辺監督を「胴上げして送り出す」という他校にはないモチベーションがある。勝負事では侮れない要素だ。5区の区間賞候補・山本も2年ぶりに復帰する。4年ぶりV奪回を目指す名門を、ライバル校も警戒を強める。

 オムワンバ、井上の2枚看板を擁する山梨学院大やスピード型の東海大、前々回優勝の日体大も上位をうかがう。217・1キロの「走力戦」から一瞬たりとも目が離せない。【渡辺佳彦】

 ◆箱根の覇権争いの変遷

 過去90回を数える大会で最多優勝を誇る中大、早大、日大、順大、日体大、明大が伝統校として知られるが、00年以降、箱根の勢力図はがらりと変わった。00年正月に初めて王者となった駒大が、8年で6度の優勝。続いて09年に初優勝した東洋大が、前回大会までの6年で4度の王座に就いた。00年以降の過去15回で、駒大と東洋大が10回も占め「2強」時代を築く。

 ◆コース変更

 往路の5区、復路の6区で通過する箱根の函嶺洞門が14年2月から通行止めとなり、その脇に開通したバイパスを今回から走行。別ルートとなるため距離にして約20メートルの差が出る。前回までの記録は参考記録となり今回からの記録が新規記録となる。