<第91回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間107・5キロ)

 創部96年目の美酒に、歓喜の声がはじけ飛ぶ。「やったなー!

 すごいゾ。どこに、あんなパワーがあるんだ!」。アンカー神野を出迎えた青学大・原晋監督(47)は喜色満面に叫んだ。間髪おかず82キロの体を宙に放り投げられる。04年4月に監督就任。3~5年で箱根出場、8年でシード権獲得、10年で優勝争い。青写真通りに「ある程度、予定通り」と胸を張った。

 現代っ子の性格も掌握した硬軟とりまぜた指導。大胆采配も持ち合わせる。それが4区のルーキー抜てきに表れた。先月29日の区間エントリーで1年の田村和希を4区に配した。3人候補がいたが元日の練習で、最初の決断を変えず、そのまま投入。理由は「駅伝力。120%の力を出し切る川内的な走り」と公務員ランナーばりの力走にかけた。

 その田村が想定以上の期待に応えた。駒大と49秒差の3位でタスキを受ける。その駒大・工藤との壮絶な「ルーキー対決」で、工藤を3秒上回る区間新。「ここ1日、2日ドキドキでした。沿道の声援がすごく力になって、楽しく走れたのが区間新の要因です」と声を弾ませた。将来の目標は「科学的にはピークは30歳前後なので、20年(の東京)でなく24年ぐらいかなと思います」と大胆な走りとは裏腹に、自分を客観視する冷静さも持つ。

 昨季は故障でシーズンを棒に振った久保田も「攻める気持ちを忘れたら、後にいい流れを作れない」と1区の重責を務めた。2区の一色も「最低限の走りは出来た。明日は徹底的に(復路の選手を)サポートしたい」とチーム一丸を強調した。【渡辺佳彦】