陸上男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(19=東洋大)と10秒07の山県亮太(22=慶大)が、今季初戦で初タッグを結成する見通しであることが分かった。7日、日本ジュニア室内大阪大会(大阪城ホール)を視察した日本陸連の苅部俊二短距離部長(45)は、テキサスリレー(3月25~28日、米テキサス州)の400メートルリレーで「組む可能性は高い」と明かした。

 リオ五輪前年は、最速2トップで始動する。ともに日本初の9秒台を目指している桐生と山県が、今季初戦からいきなり初タッグを組む。昨年11月に就任した苅部短距離部長は「テキサスリレーは(実力上位の)Aチームと、Bチームにしっかり分けてやると思います。(Aチームで)桐生と山県が組む可能性は高いです」と明かし、本気モードで船出する方針を示した。

 現役スプリンターでトップを争う2人だが、400メートルリレーを一緒に走ったことがない。13年世界選手権モスクワ大会は山県が故障で途中離脱、昨秋の仁川アジア大会は桐生が故障で欠場している。その仁川アジア大会では中国がアジア新記録の37秒99をマーク。08年北京五輪銅など同種目で、アジアをリードしてきた日本に衝撃が走った。苅部部長は「中国にやられている部分がある」と巻き返しを狙っている。

 リレーチームの大目標は、5月の世界リレー選手権(バハマ)で8位以内に与えられるリオ五輪出場枠をつかむこと。テキサスリレーは、世界リレー選手権の予行演習になる。苅部部長は「しっかりした形をつくりたい」と話し、シーズン初戦でも最強コンビを出し惜しみするつもりはない。

 桐生と山県は今オフ、飯塚も含めて東京都内で週1回の合同トレーニングを行ってきた。自主的に磨いたコンビネーションで日本のお家芸であるリレーを復活させる。お互いのけがで幻だった最強2トップがついにベールを脱ぐ。