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日本代表候補選手インタビュー

 ジェリコジャパンの司令塔として活躍する五十嵐圭(26=日立)。180センチとバスケットボール選手としては小柄だが、自慢のスピードを武器にコートを駆け回る。「PG(ポイントガード)はゲームのリズムを作るのが役目」と話す五十嵐が、世界選手権への抱負を語りました。

日本代表が強くなることが競技の向上につながる

笑顔で世界選手権の目標を話す五十嵐
笑顔で世界選手権の目標を話す五十嵐

── いよいよ日本開催の世界選手権が近づきました。どのような抱負をお持ちですか?

 日本のバスケットの地位を高めるいいチャンスだと思います。日本は小学校、中学校の体育のときにバスケットをしていて、みなさんにとって馴染みの深いスポーツだと思うんです。でも人気はサッカーや野球の方が上です。これは日本代表が結果を残しているからだと思うんです。野球はWBCで優勝した。サッカーは今回は残念な結果でしたが、02年の日韓W杯で代表がしっかりと結果を残し、盛り上がった。今回もスカパーなどでのテレビ放映もがあって、バスケを目にしてくれる人も多いと思う。そこで代表が結果を残せば、多くの人に興味を持ってもらえると思います。そこで30-90なんて大差で負けるようではぜんぜんダメですよね。日本も世界の強豪と互角に戦えるというところを見せて、競技の面白さを感じてほしいと思っています。

── 世界選手権での個人的な目標はありますか。

 今年の6月に、自分自身を追い込む意味でチーム(日立)とプロ契約を結びました。昔から考えていたことですが、ちょうど世界選手権のある今年になりました。その意味でも今大会は僕自身の分岐点になると思います。もちろんチームの勝利が第1目標ですが、ぜひ今回の大会で海外のチームからオファーをもらえるような選手に成長したいですね。バスケをやっている以上、NBAは世界最高峰の舞台なので、あこがれもあるし、できればプレーしたいという気持ちはあります。でも何度か欧州遠征を経験して、欧州のレベルもすごく高いんです。だからNBAに限らず、欧州や豪州、南米なども視野に入れた上で、海外でプレーしたいですね。自分から挑戦する人もいるが、なかなか成功した例がない。オファーをもらった上で、海外に挑戦してみたいですね。

── A代表になって4年が経ちますが、どのような心境の変化がありましたか?

 03年にユニバシアードで初めて国際試合を経験し「世界のバスケットは違う」と感じたし、日の丸を背負って戦うことの責任感を実感しました。その後、A代表に入ったのですが、本当の意味の日本を代表する選手なので、すごく責任を感じました。さらに周囲がすごい選手ばかりだったので足を引っ張らないようにしたいとも思いましたね。  代表2年目の年は、それまで以上に一生懸命練習したし、自分をアピールしようとも思いました。初の欧州遠征(04年6月)では精神的にも肉体的にも鍛えられたと思います。帰国した後のイングランドとのキリン杯でスタメンで出場し、少し自信も出てきました。

── 昨年は大きく飛躍した年だと思いますが?

 そうですね。去年は国際試合が非常に多かったですね(5月=アジア選手権東アジア予選、6月=欧州遠征でクラブチームなどと対戦。7月=キリン杯で豪州と対戦。8月=キリンインターナショナルで韓国、トルコ、リトアニアと対戦。9月=アジア選手権。10月=東アジア大会)。そのほとんどの試合でスタメン出場しました。キリン杯の豪州戦で外国選手相手に通用する部分もあることが分かり自信がつきましたね。さらにシーズンを通じてプレーできたことでその自信が自覚に代わっていきました。自分のチームである日立に戻っても、入部して以降最もいい結果を残すことができました。

── 今年の欧州遠征(6月4日~7月3日)についての感想を聞かせてください?

 例年、欧州遠征時の練習はきついです。でもこの遠征は体を作る時期と考えて臨んでいます。今年は最初の2週間は(スロベニアでの)高地トレーニングだったのですが、長距離を走ることも多く苦しかったですね。今年は世界選手権に向けて4月から体作りをしてきたのですが、スロベニアでもう1段階上のトレーニングをした感じですね。その直後の7試合はその疲れもあって1勝6敗の成績でしたが、有意義な合宿だったと思います。

「日本のPGは五十嵐だ」といわれたい

シュート練習をする五十嵐
シュート練習をする五十嵐

── ところでPGになったのはいつからですか?

 本格的にはじめたのは大学生になってからです。高校3年の国体ではPGをやりましたが、本職は2番ポジション(SG=シューティングガード)で点取り屋でした。

── ポイントガードとシューティングガードではプレーの仕方や気持ちの持ち方が大きく違いますよね?

 はい。(SGの時は)PGからパスを受けたらすぐシュートを打っていました。極端に言うと試合中はリングしか見ていなかった。でもPGをやるようになってチームの状況を考え、調子のいい人にボールを多めに回すとか、フォーメーションにも気を使うとか、とにかく頭を使うようになった。最初の頃はコントロールすることに気を取られすぎたり、ミスを恐れたりしすぎて「嫌だなー」とか「難しいなー」と思っていました。でも大学3年ぐらいから、人を動かしたり活かしたりする面白さや、自分で相手を切り崩していく楽しさがわかってきましたね。

── 高校、大学の先輩PGに佐古賢一さんがいらっしゃいますが、佐古さんに対してはどういう印象をお持ちですか?

 日本の代表を引っ張ってきた人で、アジアナンバー1と呼ばれた人なので尊敬しています。ただ今でも尊敬の対象ではありますが、JBLでは同じコートに立つのでライバルだとも思っています。

── 佐古さんのすごいところは、どういうところですか?

 「勝負強さ」ですね。ここぞというところで点が取れるし、人も使える。そのあたりは常に見習いたいと思っています。強いて言うならスピードという点では僕自身も自信を持っているし、佐古さんにも負けていないと思いますけど。ゲームメイクに関しては経験が必要だと思います。そういう意味ではジェリコ(パブリセビッチ監督)が来てから、毎年1カ月間の欧州遠征が始まり、欧州の国の代表やクラブと試合をすることで、いい経験がつめていると思います。バスケットをやっている人たちからすると、まだ日本のPG=佐古賢一という印象は強いようですが、僕も代表に入って4年が経ったので「日本のPGは五十嵐だ」といわれるようになりたいですね。

日本は“平面”で勝負するしかない

練習中にリラックスした表情を見せる五十嵐
練習中にリラックスした表情を見せる五十嵐

── 五十嵐さんの身長は180センチと、世界レベルではかなり小さいですよね。

 確かに小さいですよね。初めての国際試合であるユニバシアードの時に、海外の選手はPGでも190センチ以上あり、手も長いと感じました。最初は戸惑いましたが、国際試合の経験をつむことでどういうプレーをすればいいのかが分かってきましたね。

── 具体的に自分より大きなPGとやる時に注意していることは何ですか?

 高い位置(ゴールからより遠い位置)で相手にプレッシャーをかけてディフェンスするように心がけています。そこで時間をかけることで相手のプレーの幅が小さくなるし、疲れさせることもできると思います。さらに僕自身が自信を持っているスピードで勝負して、ファールをもらえるようなプレーをするようにしています。

── パブリセビッチ監督の元でプレーするようになって4年目ですが、五十嵐さんから見てどういう指導者ですか?

 簡単に言えば“すごく厳しい人”です。チーム内でのルールがたくさんあって、コートの内外でしっかり規律を守れと言われます。練習は午前2時間、午後2時間を集中して行い、その他の時間はしっかり体を休めろとも言われますね。ダラダラしていないので集中力はアップし、精神力も高まっています。さらに世界標準で話をしてくれます。そのため要望は厳しくてほめてもらうことは少ないですが、世界に近づくことで僕個人としても、日本全体としてもバスケのレベルは上がっていると思いますね。

── 4年間の集大成となるのが世界選手権ですね? チーム目標の決勝トーナメント進出のためには予選リーグ5試合のうち最低で2勝しなければいけません。

 どんなスポーツでもそうですが、まずは初戦が大切だと思います。(初戦の)ドイツは強敵ですが、日本らしいバスケットをしたいですね。そこでいいバスケができれば2戦目以降につながると思います。

── 「日本らしいバスケット」という言葉が出ましたが、具体的にどういうバスケかを教えてください?

 日本は外国チームに比べて身長的にも劣るし、体の線も細いです。高さでは負けるので、平面で勝負するしかないと思います。オフェンスもディフェンスもスピード重視です。具体的にはルーズボールを追いかける時とか、リバウンドへの動き出し際の反応とか細かいところでスピードを出さないと他国には対抗できないです。もちろん常にスピードで相手を上回るのは難しいですが、できる限り多く上回るようにすれば勝負できると思います。「日本らしいバスケ」で決勝トーナメント進出を目指しますので、みなさん、ぜひ応援してください。



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