男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目で争う団体で14年ソチ五輪(オリンピック)5位の日本は、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)で初のメダルを狙う。そのカギを握るのが急成長のペア須崎海羽(18)木原龍一組(25=木下グループ)だ。個人戦ではまだ世界トップとの差はある。その分、木原はメダルの可能性がある団体に向け「力になれるように必死で頑張る」と貢献を誓う。

 木原はソチ五輪後に前のパートナー高橋とペアを解消。約1年後、日本連盟を通じて実施したトライアウトで見つけた相手が須崎だった。2人の武器はシングル時代の経験が生きるジャンプ。昨年12月の全日本選手権のフリーでは、演技終盤の3連続ジャンプを成功。互いの呼吸をはかりながら、終始丁寧に滑りきり、代表の座を引き寄せた。フリーから一夜明けたクリスマスイブの昼には2人で焼き肉店へ。糖分が多いため今まで控えていた炭酸ジュースで乾杯し、牛タン6人前を分け合い、ささやかに祝った。

 日本ではまだあまりなじみのないペアの魅力を、須崎は「技のダイナミックさ」と話す。その技の中でひときわ目を引くのが、男性が女性を頭上に投げ、回転したところをキャッチするツイストリフトだ。もともとジャングルジムなど高いところが大好きだったことでペア転向を決めた須崎にとって、木原に天に投げられるのが「楽しい」と思う瞬間だという。

 そんな須崎を木原は常に痛みをこらえながら受け止める。16年12月、リフトの練習で手首の靱帯(じんたい)を損傷。一時期はペットボトルも空けられないほどの痛みで、昨夏まで投げる回数を1日3度までと制限していた。今も「だましだまし」と痛みは残り、手首に巻くテープは1週間で3ロール分も使う。それでも練習できること自体を「うれしい」と2人で技を磨き続けている。

 須崎は「楽しんで、少しでも世界の選手に近づけるような演技をしたい」。木原は「4年前は訳の分からないまま終わってしまった」と、当時の悔しさを同じ五輪の舞台にぶつける。2人の思いが詰まったリフトが決まれば、日本に追い風が吹くはずだ。【高場泉穂】

 ◆木原龍一(きはら・りゅういち)1992年(平4)8月22日、名古屋市生まれ。12-13年にシングルからペアに。14年ソチ五輪は高橋成美とのペアで出場。自己ベストはSP50・48点、フリー95・15点、合計139・98点。175センチ。

 ◆須崎海羽(すざき・みう)1999年(平11)12月15日、名古屋市生まれ。15-16年にシングルからペアに転向。木原とのペアで全日本選手権15年3位、16年2位。主要国際大会デビューの17年4大陸選手権13位。153センチ。