村山実

9回長嶋茂雄は阪神・村山実(右)から左越えにサヨナラ13号本塁打を放つ。打たれた時、村山はうなだれ、打球の行方を確認していなかった
9回長嶋茂雄は阪神・村山実(右)から左越えにサヨナラ13号本塁打を放つ。打たれた時、村山はうなだれ、打球の行方を確認していなかった

結論から言うとファウルではない。阪神村山実、巨人長嶋茂雄。後に生涯のライバルとなった2人がプロ野球史上初の天覧試合で明暗を分けた。1959年6月25日、後楽園球場。両陛下の退席の時間は9時15分。5分を切っていた。4-4で迎えた9回裏、先頭の4番長嶋が村山の5球目内角高め直球をポール際左翼席へ運んだ。9時12分。歴史的サヨナラ弾だった。阪神サイドも本塁打と認めたが、村山の発言を否定できなかった。1番遊撃の吉田義男は「冗談かと思ったが、彼は真剣だった」。村山は98年8月22日、直腸がんのため61歳で亡くなった。その後長嶋は「そのスピリッツがムラさんの良さなんだ」と語った。(/_;)

<プロ野球・1998年8月24日掲載>