<フィギュアスケート:全日本選手権>◇23日◇さいたまスーパーアリーナ

 村上佳菜子(19=中京大)が202・52点で2位に入った。

 SPの後と同様に、村上は演技を終えると顔をぐしゃぐしゃにした。今度は涙ではない。満面の笑みだった。フリーはノーミスの演技。「すごいプレッシャーだったが、自信を持って演技ができた。崖っぷちで演技ができた」と、また笑った。

 今季は絶不調。11月下旬のロシア杯のSPでは最下位に沈む。ローカル大会だった今月1日の愛知県競技会でも3位と精彩を欠く。その日、2年前のSP曲への変更を決断。深夜0時から山田コーチと練習を始めた。以来、1日6時間以上。山田コーチの厳しい指導に、家では号泣し「やめたい」と何度も思った。それでも、山田コーチを信じて耐え、結果を出した。

 伊藤みどりさんらを育てた山田コーチは「みどりとは母と娘だったが、佳菜子とは孫とババ」と苦笑いする。村上は「先生が怒ってくれた。褒められることもうれしいが、怒られることでパワーになった」と3歳から指導を受ける恩師に感謝した。

 一時はソチ行きに黄信号がつきながら、一気にメダル候補に浮上。「緊張しいでびびると思うが、先生、家族にめちゃくちゃ頼って頑張ります」。自然体の19歳は無限の可能性を秘めている。