2005年の甲子園ボウル
法 大 | 17 |
3-0 7-7 0-7 7-0 |
14 | 立 命 |
立命4連覇ならず…法大がV
<アメリカンフットボール:甲子園ボウル>◇05年12月18日◇甲子園
立命が甲子園で初めて散った。3年連続で法大との顔合わせは、クオーターごとに逆転し合う激しい展開。立命は3QにQB渋井辰彦(3年=日大三)のTDランでリードも最終4Q、RB丸田泰裕(3年=明学東村山)のTDで法大が17-14とひっくり返し、そのまま逃げ切った。法大は5年ぶりの優勝、立命は6度目で初の負けとなった。ミルズ杯(年間最優秀選手)、甲子園ボウル最優秀選手とも丸田が選ばれた。
悔し涙があふれた。涙に濡れた目を、蒼白になった顔を渋井は上げることができなかった。試合後、オフェンスチームのハドル。渋井は「すみませんでした…」と頭を下げ、後はただ泣きじゃくった。4年の「渋井、顔を上げろ!」の声も耳に入らなかった。
「自分のパスがいけなかった。修正しようとしてもできなかった。4回生のために勝ちたかった…」。
立命にとって、6度目の甲子園ボウル出場で初めて流す悔し涙だった。まさに傷だらけの状態。リーグ優勝を決めた11月27日の関学戦でエースQB池野が、左ろっ骨骨折。そして、NFLヨーロッパの日本人候補選手にもなった190センチの長身WR大滝も、左手中指を骨折し手術を受けていた。渋井は池野から「楽しんでこい」と送り出された。しかし楽しむ余裕は与えられなかった。
法大にFGで先制された1Q、攻撃が進まない。ダウン更新も反則による1度だけ。重圧を背負った渋井のパスは精度を欠き、エースRB佃のランはことごとく止められた。それでも2QにRB松森のラン、そして3Qも渋井のランでTDを奪い、2度逆転する。しかし4Qにひっくり返されると反撃の力はなかった。
「勝負は時の運。第3ダウのンの1ヤードを止めればとか、微妙な差だったと思います。ただひとつ反省点は、選手の気持ちが乗り切らないまま試合に臨んでしまった。関学戦があまりにうまくいきすぎて心にスキができたのかも」。
関学戦勝利に大きな代償を払い、史上3校目の4連覇は夢と散った。歓喜に沸く法大のサイドラインを、選手は赤く染まった目に焼き付けた。「もう1回、日本を制するチームを作ろうやないか。そして来年また、ここに戻って来よう!」。最後のハドルで古橋ヘッドは声を張り上げた。王座から陥落した立命は、挑戦者となり再出発する。【実藤健一】