石川遼は今季国内ツアー初出場となった先週のANAオープンで、いきなり優勝した。この週から「ドライバーで強気に攻める」と気持ちを切り替えて臨み、すぐに結果につなげた。大会を通じて隣で支えた佐藤賢和(よしかず)キャディー(35)が、石川の強さと舞台裏を語った。

 石川遼の勝因は、最後まで攻める姿勢を貫き通せたメンタルの強さだと思います。最終日の18番は2位の宮里優作プロとは2打差、ボギーでも勝てる状況でした。狭いホールで「刻む選択肢もある」と思いましたが、彼はドライバーをスッと抜きました。僕はその決断を否定してムードを悪くしたくなかったので、何も言いませんでした。

 第1打は右の林へ。「(フェアウエーに)出すのもありだよね」と選択肢も提案しましたが、遼は「まあ、見ててよ」と即答してきたので、僕は「任せた」と答え、同時に「さすがだな」と思いました。見事なスライスでグリーン手前エッジに運びました。

 ドライバー一辺倒で攻めるゴルフは、賞金王になった09年と似ています。でも当時より小技の技術やトラブルショットのスキルは断然向上している。ショットが曲がっても、OBや池に入らなければ何とかできます。大会前に遼がドライバーで攻めると決めた時、正直「上位争いか、予選落ちか半々」と思っていました。でも実際はすごく楽しかったです。ドライバーを打つ時はいつもドキドキしましたけど…(笑い)。

 今週は先週以上にドライバーを使うことにリスクを負うコースです。芝質も先週とは違う。それでも、うまく対応できている。また楽しいゴルフをお見せできるはずです。(2015年9月24日付紙面掲載)

 ◆佐藤賢和(さとう・よしかず)1980年(昭55)4月8日、宮城県生まれ。東北福祉大ゴルフ部では宮里優作、岩田寛らと同期。当初はプロを目指すも、宮里の勧めで06年からプロキャディーに。石川のほか片山晋呉、平塚哲二、女子の北田瑠衣、有村智恵、上田桃子の優勝に貢献。