負けた経験が、松山を強くさせた。昨季、勝てそうで勝てない試合を重ねた松山が、やっとつかんだ米ツアー2勝目。専属キャディーである進藤大典(だいすけ)氏(35)が、その舞台裏を語った。

 リッキー(ファウラー)はすごくうまくて、思い切りもよく、自信がみなぎってました。最後は観衆のほぼ100%(笑い)が地元米国のリッキーの応援で“アウェー感”もありました。英樹のパットが外れて、拍手が起きることも。もちろんいいショットにはちゃんと歓声と称賛の拍手がもらえますが…。

 そんな中、勝因は1つではないけれど、一昨年、去年の優勝争いの経験が生きたのは間違いないです。最終日にどこからどう打ったらどうなるか、経験値があります。例えば14番のバーディーパットは昨年と同じライン。昨年は少し弱くてショートし、3パットだったけど、この日はしっかり打って「OK」に寄せられた。米国で初優勝して以降、一番悔しかったのが昨年のこの大会。その悔しさがパワーになりました。

 プレーオフ2ホール目をバーディーで分けた時、英樹とリッキーが笑顔で拳を合わせました。スタート前もいろんな選手やキャディーから「ダイスケ、楽しんでこいよ」「ヒデキ、グッドラック!」など名指しで声をかけられました。こうしたシーンも、米ツアーで2年強、頑張って培ったものだと肌で感じてうれしかった。それもいい戦いができた一因でしょう。(2016年2月9日付紙面掲載)