米男子ゴルフの松山英樹(24=LEXUS)が難コースに自然体で臨む。今日16日に開幕する全米オープンに向けて練習場で調整。松山の専属キャディーの進藤大典氏(35)は、攻略ポイントと手応えについて語った。

 いよいよ全米オープンが始まります。初めてのコースですが、5月にも1度練習に来ました。いつもよりいい準備が、たくさんできている気がします。

 直近のメモリアル・トーナメントは予選落ちでした。スイングで新しいことに取り組み、調整して臨みましたが、まだ安定はしていなかった。英樹にしては珍しく、合わせられませんでした。優勝した得意なコースでも、うまくかみ合わなかっただけで、そういう結果になる。あらためてPGAツアーのレベルの高さを感じました。でも心配はしないでください。予選落ちした翌日の土曜日から精度を高める練習を重ね、悔しい経験をこの試合に生かそうと備えてきました。

 今回の舞台は「世界一難しい」と称されたこともあるオークモント。全英とマスターズの難しさを足したようなコースだと感じています。まず、グリーンが速い。スティンプメーター(グリーンの速さなどを測る計測器)で測っても14・5フィートを切ったことがありません。「ガラスのグリーン」が代名詞のマスターズでも14くらい。それだけスピードがありながら、コース全体の傾斜も強い上に、グリーン上のコブが入り交じって錯覚を起こすので、ラインも非常に読みづらい。

 これだけ粘っこいラフの芝も初めてです。葉っぱを引っ張って抜こうとしても抜けないくらい、根が張っている。それだけクラブも抜けにくいということですから、ラフに入れたら、レイアップは確実でしょう。

 前回ここで開催された07年の優勝スコアが5オーバー。4日間、18ホールでアンダーパーを記録できたのは8人。それでも英樹がはまれば、4日間のうちに1、2回は出せると思います。

 世界NO・1のジェーソン・デーのキャディーを務めるコリンから、アウトとインにある2ホールの攻め方について、おもしろい話も聞けました。自分1人では思い付かない、驚きの攻略法です。詳しくは企業秘密ですが、ピンポジションなど条件がそろえば、英樹と相談して検討する価値はあると思っています。

 マスターズで優勝争いができたことは、すごく貴重な経験でした。この全米オープンでも優勝争いをして、優勝ができたら最高ですが、まずこの試合でしか得られないものを得たい。勝つのは時の運もあります。でも、その運は、しっかりと準備をしない限り、絶対に巡ってこない。それだけのことはやってきたつもりなので、あとは結果を出せるよう頑張るだけです。(2016年6月16日付紙面掲載)