17日まで行われた米男子ゴルフの今季メジャー第3戦、全英オープンで松山英樹(24=LEXUS)が、6月の全米オープンに続いて予選落ちを喫した。メジャー2試合連続予選落ちは自身初。直前には8月のリオデジャネイロ五輪出場辞退も表明した松山の現状を、専属キャディーの進藤大典氏(36)が語った。

 五輪は、チームとして難しい決断でした。112年ぶりに復活する五輪で金メダルを取りたい思いもあったし、ヘッドコーチの丸山さんと一緒に日の丸を背負って戦いたかった。一番はゴルフという競技を広めたい気持ちです。でも、最後まで治安とジカ熱の不安をぬぐいきれませんでした。

 僕は英樹がアレルギー体質で苦しむ姿を見ています。全米オープンでは虫に刺された腕が腫れ、13年も同じようなことが2度ありました。アレルギー反応が起きた時、どうするのか。慣れ親しんだ日本やアメリカなら不安は少ないですが、リオの医療機関の対応はどうなのか。現地の情報も少なく、先月、五輪の救急指定病院が武装集団に襲撃されるニュースも見ました。ジョーダン(スピース)やダスティン(ジョンソン)のキャディーからは、アメリカで辞退した選手の懸念は主に治安と聞きました。

 チーム内で、これまで通りメジャーとツアーの戦いに全力を注ごうと再確認して全英に臨みましたが、悔しい結果となりました。ゴルフの感覚が良くない。スイングを変えたり、クラブを替えたりしましたから、まだ原因は分かりません。そういう時に限ってカップをなめたり、蹴られたり…。流れも悪かった。内容は良かった初日も、スコアにはつながりませんでした。

 もともと悪いなりの感覚でもスコアをまとめられるタイプの英樹ですから、悪い成績が4試合続くのは初めてです。でも、僕は焦っていません。シーズン全体で見れば優勝し、メジャーでトップ10にも入っている。今は耐える時だと思っています。逆にそういう時期がないとおかしい。アダム(スコット)は去年1勝もできず、最後のプレーオフは4試合のうち2試合目にも進めませんでした。それが今季は完全復活。連勝もしました。世界ランク1位になった選手もそういう時期を経験しています。ロリー(マキロイ)も、タイガー(ウッズ)もそうです。

 「悪い時があれば、いい時が必ずある!」。尊敬するビートたけしさんに直接いただいた言葉です。悪い時が続けば運がたまっていいことがある、と思うようにするそうです。次は全米プロ。大振りせず、コツコツと、ですね。最初から「優勝争いを目指す」と言うのではなく、まずはいい流れをつくることを意識していきたいと思います。(2016年7月21日付紙面掲載)