男子ゴルフツアーの新規大会「ミュゼプラチナムオープンゴルフトーナメント」(7月9日開幕)の開催要項発表が、開催コースの兵庫県三木市のジャパンメモリアルGCで8日に行われた。

 このジャパンメモリアルGCは、ジャック・ニクラウスの設計で、フェアウエーバンカーやグリーンサイドのガードバンカーが心憎いほどうまく配置されている。しかし、危険区域のそばには絶好のルートも作ってあり、グリーンの左右どちらかのサイドには逃げ道がある。このように非常に攻め甲斐のあるコースで面白いのだが、何しろ素人にはジャックのコースは難易度が高い。

 たぶん、グリーンのどちらかに作ってくれている逃げ道も、大会ではプロたちが逃げられないようなメンテナンスになっているのだろうと想像する。この大会で、さてトッププロたちはどのように攻めるか楽しみだ。

 この大会に名乗り出たのは、女性向けの美容脱毛サロンのミュゼプラチナムを経営する株式会社ジンコーポレーションだ。福島県出身の高橋仁社長(46)が興した会社で「女性の脱毛部門では70%のシェアですが、男性には知名度が低い。そこで、男子ツアーを主催して、男性に知ってもらおう」というのが、男子ツアーのスポンサーになる狙いであったという。ゴルフの腕前も確かで、日刊アマゴルフにも出場してくれていたというから、うれしい限りだ。

 こんなトーナメントのコンセプトは、やはり女性の会社だけに「女性に優しいトーナメント」ということになっている。なんと女性と高校生以下は入場料無料にしたのだ。それに、最終ホールのギャラリースタンドには、女性専用シートを作り、何カ所かのトイレにはパウダールームも作るという、至れり尽くせりなのである。こうして、男性が女性と連れ立ってトーナメントを見に来る。そして、男性にミュゼプラチナムという会社を分かってもらう。「それで男性が女性の美容のスポンサーになってくれたら、女性は喜ぶでしょう」という図式だ。

 高橋社長の話を受けて、最後に日本ゴルフツアー機構(JGTO)の鷹羽正好副会長がこう言って締めた。「女性がゴルフをどんな形でも好きになってくれたら、男はゴルフをやりやすくなります」。この話には私も大いにうなずいた。

 阪神大震災から20年の神戸で、福島県生まれの会社が東北復興もひとつのテーマにして開かれる。女性向けの会社が男子ツアーにやってきたユニークな大会。どんな展開になるのか注目だ。【町野直人】