日本プロゴルフ グランド・ゴールドシニア選手権・ゴルフパートナー杯が6月3日から2日間、兵庫・よみうりCCで行われる。出場選手は通常のシニア=50歳以上よりもっと年長ですわ。グランド=60歳以上、ゴールド=68歳以上やから“還暦過ぎの赤いちゃんちゃんこ世代”による大会です。

 松山英樹も石川遼も池田勇太も小平智も出てへん。「生涯レギュラーツアー選手」を公言するジャンボさんは出られるけど、出てへん。なのに、昨年大会は第1日に約3000人、最終日に約6000人、2日間で約9000人も集客した。ツアーを運営する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の看板大会・ツアー選手権が昨年最終日に6105人やったことを思ったら、立派な数字。今年は「2日間でギャラリー1万人超」が目標らしい。

 どうやって客を集めたか? 入場無料、つまりタダ。しかもギャラリープラザのB級グルメ店で、これまたどれでも1品無料、つまりタダ。「タダでプロの試合見て、タダでメシも食える」企画は、今年も続く。

 特別協賛ゴルフパートナーの営業推進本部販促企画部課長、白石雅男さんに聞いた。

 「赤字ですやん?」

 「そうですね」

 よみうりCCを運営する読売ゴルフの営業戦略本部長、小林一則さんにも聞いた。

 「赤字でええんでっか?」

 「まあ、各方面に無理をお願いしています」

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 こんなデータがある。「ゴルファー人口男女推移 2005~2014年」(矢野経済研究所 ゴルフ産業白書2015)を見ると、05年に約1030万人(うち女子約174万人)やったゴルフ人口が2014年には約800万人(同約140万人)になった。約10年で約230万人、22%も減った。

 よみうりCCも、ゴルフパートナーも企業やから慈善事業でやってへん。理屈は想像がつくし、実際その通りやった。「まずお客さんに生でゴルフを見てもらって、ゴルフのおもしろさを感じてもらう。その人たちがよりゴルフに興味を持って…」(白石さん)。ゴルフ市場を活性化させる。それがクラブ販売や、ゴルフ場の利用者増につながる。「損して得を取る」っちゅうやつです。額面通りにはいかんかもしれんが、広告効果もあるんでしょう。トーナメント運営費、数千万円は“投資”と考えてるって言うてはった。

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 ギャラリーサービスは他にもある。出場プロによるレッスン。昨年は高橋勝成さんらがお客さんに手取り足取り教えた。1番ビックリしたんは、通常は選手用にキープされる、クラブハウスに隣接する駐車場をお客さんに回すこと。選手にはちょっと離れたとめさせて、シャトルバスで輸送する-。通常のトーナメントでは、ありえへん。選手の協力があってこそ実現したサービスでしょう。

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 そうそう「ただ見、ただメシ」いうても、チケットは必要なんで、ご注意を! 関西エリアのゴルフパートナー各店舗で配布してるそうで、あるいはホームページからもダウンロードできるとか。ちなみに問い合わせ先は、よみうりCC(電話0797・61・0112)です。

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 さて、危機的状態が続く男子のレギュラーツアーはどうか。年間試合数は女子の38試合に対し、たった24試合。アジアとの共催を除き、国内開幕戦は4月14日から。プロ野球も始まってんのに、まだやってへん。ツアー青木功さんが新会長に就任した。象徴、神輿(みこし)としては最高の人が上に立った。じゃあ、上向くんか、と言えば…どうやろう。要はJGTOが、何よりプロが本気で、どこまで頑張れるか。

 「JGTOも、プロも意識が低い」。有力なツアー競技のスポンサーから、そんな超厳しい声も聞こえる。入場無料にせえ、タダでご飯食べさせろ、選手用の駐車場を客に回せ…別にそんなこと言うてませんが、徹底したホスピタリティーは参考になるはず。ぼやぼやしてたら、職場は細っていく一方、稼ぎの場がなくなってまうかもしれまへんで。【加藤裕一】